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2015/04/03

「君はこのごろ平和についてどう考えてる」奥平康弘さん

 奥平先生とは、一度だけ仕事をさせていただいた。ずいぶん、切れる、そして深く考える人だなあという強い印象がある。ちょうど、改憲の波がおしよせはじめた90年代後半だったかな。

「君はこのごろ平和についてどう考えてる」奥平康弘さん(東京新聞)

 「君はこのごろ平和についてどう考えてる」。一月に八十五歳で亡くなった「九条の会」呼び掛け人の一人、東京大名誉教授で憲法研究者の奥平康弘さんは、死の前日、妻せい子さん(85)にそう問いかけた。かたわらには読みさしの岩波文庫、カント「永遠平和のために」。地元の集会で護憲を訴えて帰宅した日の夜だった。夫は最後に何を訴えたかったのか、考え続けている。

 住んで四十年になる東京都調布市の自宅。七畳ほどの書斎は本棚とベッド、愛用のいすで、もういっぱい。机はない。「原稿はひざの上に下敷きを置いて手書きでした」とせい子さん。質素な生活がしのばれる。
 ベッドの脇に腰を下ろした奥平さんが、せい子さんに「平和について…」と問うたのは、一月二十五日午後十一時ごろ。珍しい質問をするなあと感じながら、思いつくままに答えた。「コスタリカの人は平和を愛しているそうなので様子を見に行ってみたい」「平和は積極的に構築する努力が必要だと思う」。奥平さんは相づち程度でもっぱら聞き役だったと記憶する。
 その日の昼、奥平さんは、調布九条の会「憲法ひろば」の創立十周年記念の会で、憲法を守るために「われわれは何をなすべきかが問われているのだと思います」と訴えていた。
 そして夫婦が話し始めてから一時間、日付が変わるころ「おやすみなさい」と言い合ったのが最後だった。二十六日朝、湯船で亡くなっている奥平さんを発見。穏やかな表情だった。医師の説明では風呂に入った直後の急性心筋梗塞だった。
 「最後まで平和や憲法について発言できた人生はすばらしい」とせい子さんは思うが、心残りもある。「どうしてあの時、私に平和を問うたのか。どうして今、『永遠平和のために』を読み返していたのか。死んじゃうなら私が聞きたかった」
 遺品となった文庫本にはさんだ紙片には、赤い文字で「平和主義」の書き込みがあった。その本をせい子さんは今、読んでいる。夫の最後の思いを理解するためだ。「市民一人一人が平和を担う上で大切な存在であることを分かりやすく書かれていて感動します」…

 いろいろ聞いて見たいこともたくさんあった。違いを感じる論点をもちろんあった。だけど、発する問いはいつも深く。最後の問いもまた深いんだろうなあ。
 先達たちの思索を、ちゃんと受け継がないとなあ。安易な議論はやっぱりダメだ。ちゃんと、考えないと。

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