外交ドキュメント 歴史認識
歴史認識というタイトルだけれども、その歴史認識の中身そのものを扱ったものではない。歴史認識をめぐる、外交の舞台で、それぞれのプレーヤーがどういう動きをしたのかといドキュメントだ。教科書問題、「慰安婦」問題、そして村山談話をめぐる政治過程が、かなりリアルに再現される。なるほど、日本の外交にとって、これがどんな大きな課題であり、政治家と官僚が、どんな知恵を出し、議論を積み重ねてきたのかがよくわかる。著者は、その合意の難しさを強調するが、どちらかというと、そういう保守陣営のなかでの議論の積み重ねというものに、目を引かれる。そういう議論はそんなに簡単に覆すことはできないし、言い換えればそれに攻撃をしかける政権中枢の異様さもまた浮き彫りにされるというもの。
と、同時に、外交のドキュメントだが、それぞれの主張がどう対立しているのかということが整理されているわけでもない。国際法の解釈の違いなどについてはまず触れられていない。あくまでのプレーヤーの動きが中心。そういう意味では、かなり狭い、合意過程を描いているという言い方もできる。だから、背景にある、世論の動きや、社会の変容なども視野には入らない。そういう狭い「合意」の議論は、一方では、かなり危ういものというのは、別の論者の議論などをみていて、最近、感じるのだけど。
だけど、政治過程を追ったものとしては結構、力作で、面白かったのではある。
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