抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心
ジャーナリストの青木理さんが、朝日バッシングの問題にせまった。十分に読ませる一冊。
ボクも昨年の8月に朝日の例の「吉田証言」の訂正記事がでたとき、誤りを認めたり、訂正はいいとしても、なぜ「慰安婦」問題で、しっかりと旗を掲げたキャンペーンをしないのか、不思議に思った。そしてその後の朝日の迷走をみると、バッシングに屈したのかと思えたからだ。青木さんもは、誤報を正すのはメディアの責務としながらも、朝日のそれは、歴史修正主義に膝を屈したと言う。朝日は誤報の訂正と同時に、「慰安婦」問題の変わらぬ本質を報じ続けなければならなかったと。そして、この事件を、戦後史の転換点で起こった「歴史的事件」だと言うのだ。そのぐらい、メディアと日本の民主主義にとって、大きな問題だとボクも思う。
後半は朝日関係者への取材。植村隆さんへのインタビューは、彼への攻撃がまったく、不当といえるもので、むしろからは、差別や偏見にさらされた人に光を当てようという普通の記者であったことが明らかにされる。つづいて元主筆の若宮啓文さん。ボクから見れば朝日のなかで保守というイメージだから、そういう人がこの問題をどう見ているのかは興味深い。90年代前半に朝日の慰安婦報道を中心で担った市川速水元GMの話は、興味深くもあり、同時に、いまのマスメディアの劣化の現状も明らかにしてくれる。若宮さんのものと合わせて読むと、朝日の良心的側面と同時に、立ち位置の曖昧さ、弱さが、結局、膝を屈するような状況をつくっていったことがよくわかるのだ。と同時に、そこからは、日本のマスメディア全体の底知れぬ危機というようなものも見えてくるのではあるのだが。そこがおそろしい。その背景を、最後の外岡さんが、メディアをめぐる状況の変化と、社会全体の変化を視野に語ってくれているというものになっている。うーん。
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コメント
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以下団体HPで、慰安婦問題の元凶である朝日新聞への集団訴訟に賛同する署名が募集されています。
原告募集は二万五千人を超えた段階で打ち切られましたが、募集に間に合わなかった方、訴訟は抵抗あるが署名なら、という方は署名しましょう。
個人で出来ることには限界があります。泣き寝入りするしかなかった多くの国民を代弁する、勇気ある行動を支えましょう!
団体HP:朝日新聞を糺す国民会議
投稿: 名無し | 2015/03/19 09:46