中谷防衛相 文官統制 規定廃止批判に反論
何という発言だろうか! そうとう歪んでいる。
中谷防衛相 文官統制 規定廃止批判に反論(東京新聞)中谷元防衛相が二十七日、防衛省設置法にある「文官統制」の規定は戦時中の軍部暴走への反省によるものではないとの考えを示した。これは、近く閣議決定する同法改正案でこの規定をなくせば、政治が軍事に優先する「文民統制(シビリアンコントロール)」が弱体化するとの批判に反論する狙いがある。文官統制は文民統制を支える重要な考えだけに、発言には批判が集まる可能性がある。
文官統制は、防衛省の内部部局(内局)の背広組(文官)が、制服組自衛官より優位を保つと解釈される考え。民主主義国家の基本原則である文民統制の一環だ。
だが、中谷氏は二十七日の記者会見で「文官が自衛官をコントロールする考え方はとっていない。それは本当の意味での文民統制ではない」と発言。文民統制に防衛省の内局幹部の関与は必要でないとの考えも示した。
中谷氏は、文官統制規定は戦前に軍部が暴走した反省から作られたのかとの質問に対し、「そういうふうには思わない」と明言。規定が入った経緯に関しては「私はその後に生まれたので、どういう趣旨だったか分からない」と回答を避けた。
具体的なやりとりは次のようだったという。
記者 「文官統制の規定は軍部が暴走した戦前の反省から作られたのか」
中谷氏 「その辺は私、その後生まれたわけで、当時、どういう趣旨かどうかは分からない」
記者 「戦前の軍部が独走した反省から、先人の政治家たちが作ったと考えるか」
中谷氏 「そういうふうに私は思わない」
記者 「戦前の反省からできた規定とは思わないのか」
中谷氏 「政府としては、文官が自衛官をコントロールする文官統制という考え方はしていないし、それは本当の意味での文民統制ではないと思う」
記者 「文民統制は、戦前の軍部が暴走した反省から作られたのか」
中谷氏 「そもそも自衛隊というのは、旧軍から違う組織としてできた。文民統制というのは、文官が統制をするといったことを政府として言ったこともない。国会でも、文官が自衛隊をコントロールするという趣旨を述べたというのには、私はまだ接していない」
なんどもいうが文官統制なり、文民統制なり、その言葉を正確に理解した方がいい。そもそも、9条は、軍隊なり、武力組織なりの存在を認めていない。だから、そもそも武力装置への文官統制などは予定されていない。文民統制も、憲法の「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」というものから、議論されるわけだけど、そもそも武力組織などを前提にしていない。だからここで意識されていたのは、旧軍や、その影響下にある人であることは普通に考えれば導き出される。なぜ、文官統制ができたのか。9条のもとでの自衛隊の存在には、国民の間でも、議論があったし、憲法学会では基本的に自衛隊が違憲というのが通説だ。そのため、政府が、自衛隊を認めてもらうそういう苦肉の策として、外国等の例なども援用して、つくられたのがこの仕組みのほかならない。そういう意味では、かなりいびつな制度ではあるが、政府はそれを自衛隊の存在のある意味では、前提にしてきたという言い方ができないわけではない。それを崩すのは、自衛隊が普通の軍隊になり、まさに憲法違反であることを自己暴露するようなものでもある。
そして、そもそも、元自営官の防衛大臣という存在そのものが、かなり違憲なものであることを、自身が証明しているという問題でもあると思うのだけど。
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