調査報告 "消えた"子どもたち ~届かなかった「助けて」の声~
今日のNスペ。衝撃的な内容だった。
学校に通わないなど社会とのつながりを失い、どこにいるのか、何をしているのかわからなくなってしまった子どもたち。
ことし5月、厚木市で男児が白骨化して見つかるなど、事件が相次いでいる。
しかし、こうした社会から“消えた”子どもたちについて、これまで詳しい調査はほとんどなく、その広がりや実態は明らかになっていない。
そこで、NHKは、全国の関連施設に独自アンケートを実施。
浮かび上がってくるのは、虐待・ネグレクト・DVといった現代の闇が複雑に絡み合うなかで、子どもたちが声も出せないまま苦しんでいる実態、そして、こうした子どもたちの異変に気づけない社会の現実だ。
現代日本の片隅で助けを求めている“消えた子どもたち”、その実態に迫るとともに、子どもたちの命と人生を守るために、いま社会が向き合うべき課題は何か、問いかける。
厚労省の調査が、きわめて限定された「消えた子ども」の調査だっただけに、家族のなかに沈殿してしまって、見えなくなった子どもに光をあているのは重要だと思う。そして、その調査は、なかなか見事だった。さすがNHKで。政策統括は、以前、相方がお世話になった、蔵端美幸さんだった。ほんと。さすが。
家族責任に覆われたこの社会では、家族に沈殿してしまって見えなくなった子どもは、ほんとうに存在しない子どもになる。そのことを克明に明らかにする。命までもがたたれる。
施設への調査はある意味では救出された子どもたち。それで1000件なのだから、実数はそのはるかに多い数になるのだろう。そのことも考えさえされる。
だけど、そのうえであえていえば、番組は、なぜ家族に沈殿するのか?については問いかけない。そして、学校や児相、とくに学校で、なぜそのシグナルにこたえた動きがなされないのかについてはつっこまない。社会のシステムというか、そして家族支援の、子ども支援の制度、そのことを追及しないのだ。
と同時に、実践は、良識ある個人の努力なのか?
ちょうど、同じような事例を、わが研究者に転じた、相方准教授が調査している。そこで生み出されている実践は、それそれで学校のかかわりを、そこでつちかわれる大人社会との出会いと信頼、子どもたち同士のつながりの重要性も教えてくれるのだけど。などと、いろいろ考えた。
だけど、とても貴重な、そしてすぐれた番組だったと思うけど。
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