デモと若者(上)渋谷が違って見えた
SASPLがメディアでいろいろ取り上げられているのは、うれしい。この神奈川新聞の記事は、なかなかです。
時代の正体(37) 特定機密保護法考 デモと若者(上)渋谷が違って見えた(神奈川新聞)暮れなずむ休日、渋谷のファッションストリート、ラップのリズムに乗り、この街では耳慣れない単語が響いていた。
「トクテイヒミツホゴホウ、ハンタイ」
「ミンシュシュギッテ、ナンダ」
ラッパーのコールでデモを先導するトラックは「サウンドカー」と呼ばれ、大型スピーカーが2台据え付けられている。和光大3年、福田和香子(20)は荷台にひょいと飛び移り、マイクを握った。
「H&M」のサングラス、「SASPL」とプリントされた特注Tシャツにタイトなパンツスタイル。
「私がデモに参加するようになって1年がたとうとしています。別に私、活動家でも何でもありません。本とクラブが好きなただの大学生。でも、ただの大学生にも言いたいこと、言えることがある。政治や世の中に対して、言いたいことを言うってそんなにおかしいことですか」
張りのある声。ちょっと緊張してます、とこぼしていたはにかみはもう、ない。あるいは沿道の大人たちのしかめっ面、同世代の若者たちから向けられる奇異の視線を感じたか。
■ 補 完
SASPL-。「Students Against Secret Protection Law」の頭文字を取って「サスプル」。デモを主催したグループ名は、訳せば「特定秘密保護法に反対する学生たち」。ツイッターやフェイスブックで知り合った大学生で結成された。
代表者もいなければ、ちゃんとした組織があるわけでもない。中心メンバーの一人である福田は「子どもの頃から群れるのは苦手。『連帯』とか言われたら勘弁してよって参加してなかった」と笑う。
政治を学ぶ学生が動画「5分でわかる特定秘密保護法」を製作し、ユーチューブで流した。美術大生はそろいのTシャツや「DEMO」のロゴ入りのニット帽をデザインした。デモを企画し、「オシャレをしてきて」と呼び掛けた。
「デモというと悲壮感や暗い雰囲気が漂うものばかり。私たちは楽しく、明るく、オシャレにやりたい」
福田はどこまでも屈託がない。
では、なぜデモなのか。当日25日、出発地点の代々木公園でメンバーがマイクを手にあらためて趣旨を訴えた。
「政治のことを考えましょうとか、勉強しましょうと言うと、みんなえらいねと言う。でも、政治の主張をすると君、ヤバくないかって。こんなおかしな国、日本ぐらいじゃないですか」
「選挙に行けよと言う人がいる。でも選挙は民意を完全に反映するわけじゃない」。選挙だけが政治に関わる手段じゃない。デモはその手段の一つ。僕たちはおかしいと思った時に、おかしいと言っていい。選挙を補うものとしてデモがある」
■ 虚 無
マイクを握る福田の手に力がこもる。昨年12月6日、秘密保護法が成立した日に話題が及んだ時だ。
「私はとても怒っていた。それは国民の意思を踏みにじった政治家だけに向けられたわけではありませんでした。強行採決は政治家のみによってなされたものではないから。都合の悪いものから目を背け、おびえ、羊のように飼われてきた、そんな大人たちの存在なしには成立しなかったはずです」
法律の施行が12月10日に迫る。
「そんな彼らは言います。デモなんかしたって何も変わんないって。このデモだってそう。いまさら何になるんだって。そういう言葉を浴びせてくる大人たちをたくさん見てきました」
苦い思いがあった。都立中学校に通っていた頃、入学式や卒業式で君が代を歌うことを拒否し続けていた教諭がいた。
なぜ歌わないのか教諭は毎朝校門の前で話し続けた。学校側は制止もしなければ、国歌斉唱の是非を説明することもなかった。「存在しないかのように扱われていた」。翌年、教諭は異動になった。
決められた枠にはまらない人間は不必要と言わんばかりの対応に思えた。「でも言葉にすれば変わり者扱いされるのは分かっていたから」。無関心を装った。…
だけど、できることなら、彼らのすべてをありのままで受けとめたいし、聞き取りたい。そうしてほしい。若者はいつも、新しい。だけど、彼らの新しさは、いまの新しさだ。そのことが大事。そのありのままの全体像を。それでこそ、わかることや、かんがえるべきことがある感じがずっとしているのだけどなあ。そして、たぶん、若者から聞くことは、それだけにとどまらない。
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こういうデモ活動については、国会議事堂周辺での反原発デモ活動と同様に、大いに結構なことだし、
自分が、警察官僚の立場であれば、予め交通整理などの目的で、デモ活動の許可申請をして来られた際には
例えば、静穏保持法等の規制内容等、分からないことがあれば、幾らでもお答えして、くれぐれも、こういうデモ活動
とは全く関係のない通行人や、他の交通のご迷惑にならない様にご協力して頂けるのであれば、願ってもないことですし
それこそ、ヘイトデモやヘイトスピーチ等と言われるようなデモ活動こそが、極めて邪魔な存在でしかないのだし、こういう
デモ活動をされる皆様にとりましても、ご迷惑な存在でしかないということも、本質的な見立てではないかと見破れば、
「ヘイトデモなんてことに対しては、くれぐれも変なとばっちりを受けることが無い様に、まんまと騙されたふりをして、白い目で見てやり、誇りを持って無視をして下さいます様、どうぞよろしくお願い申し上げます」ということで応えてあげたいくらいですよね。
投稿: asa | 2014/11/02 10:45