NOヘイト! 出版の製造者責任を考える
ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会がおこなったシンポジウムを軸につくったもの。それは、ある意味で、同業者へのよびかけであり、この業界の人の思いを発信したものだ。そのことを前提に読む必要がある。だから、ヘイトスピーチの中身への反論があるわけではない。やや内向き感がないわけではない。
ヘイト本が書店につみあがり、目を覆いたい状況がある。そのことについて出版の側の人間としてどう考えるのかが趣旨。大きくは「表現の自由」と「ヘイト規制」という問題があるわけで、とても難しい問題だけど、だけど、そもそも、この業界は、メディア全体が抱える問題と同じく、きわめて極端な自主規制が、さまざまな背景をもって、おこなわれてきた分野でもある。出版というものの状況は、決して、「知る権利」に十分こたえたものになっているわけではないし、タブーも多々存在する。この本は、あえてそうした問題をいわば横において、そういう立場の違いを超えて、いま現実に危機的な状態にあるヘイト本の問題について、幅広く一致点をさぐろうと模索したものということができるのかなあ。
もちろん、ボクはこの本の、そしてこの会の取り組みを強く支持する。この本も、書店の人へのアンケートなど、かなりリアルで、赤裸々な話も多いし、加藤さんの話はあいかわらず面白い。十分、共感する内容である。
と、同時に、そういう視点で書かれている本だからこそ、模索の本だと思う。正直、いまのヘイト本をめぐる国民意識の状況にしても、その背景にしても、その分析方法そのものも見つけられているわけではない。規制にかかわる議論についても、問題提起があるが、その内容は、正直荒っぽいし、結論はやはり、模索だ。
われわれの議論がそういう途上にあることを、ボクらはもっと自覚する必要があるのだと思う。自戒と自覚をしっかりもちながら、この問題には向き合っていかなければいけないと思う。
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