女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち
結局、買った本がどこにいったかわからなくなってしまい、2冊目を買って、それを読了。とても、おもしろく、構成的にも良くできた本。
「JK リフレ」や「JK お散歩」の現場を取材し、「JK産業」で働く少女たちの身に何が起きているのかをリポートしたもの。そこには、さまざまな問題がある。根底には、この日本社会が性犯罪に対して、ある種の寛容があり、性被害を解決することに対して正面から向き合っていないということがある。そのことが凄まじい。そして、そうした社会を背景に、少女たちをねらう裏社会が仕切る性産業群が根強く残っている。
一方、少女たちの側を見れば、まず広がる貧困がある。その貧困が連鎖するさまがある。少女たちが求めるものは、住まい、教育、仕事だ。個人化し、家族が不安定化するなかで、こうした願いは切実でもある。そうした不安定さを支える、解決のための関係性がない。そういう意味では、この関係性は、湯浅さんのいう「溜め」に似ている。
社会政策的な視野をしっかりもった議論であることも驚いた。読んでいて、身の引き締まる思いがした貴重な一冊。これはおすすめです。
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