老人漂流社会 "老後破産"の現実
ちょっと議論になっている先日のNスぺ。日曜日に録画を失敗し、昨日の再放送でやっと見た次第。
高齢者人口が3000万を突破し、超高齢社会となった日本。とりわけ深刻なのが、600万人を超えようとする、独り暮らしの高齢者の問題だ。その半数、およそ300万人が生活保護水準以下の年金収入しかない。生活保護を受けているのは70万人ほど、残り200万人余りは生活保護を受けずに暮らしている。年金が引き下げられ、医療や介護の負担が重くなる中、貯蓄もなくギリギリの暮らしを続けてきた高齢者が“破産”寸前の状況に追い込まれている。在宅医療や介護の現場では「年金が足りず医療や介護サービスを安心して受けられない」という訴えが相次いでいる。自治体のスタッフは、必要な治療や介護サービスを中断しないように、生活保護の申請手続きに追われている。
“老後破産”の厳しい現実を密着ルポで描くとともに、誰が、どういった枠組みで高齢者を支えていくべきか、専門家のインタビューを交えながら考える。
年金では暮らせない。貯金が底をついたとき、”老後破産”がおとずれる。そのことを正面から描いた番組。高齢者は格差が拡大し、貧困が広がっているが、社会全体で、その実相は必ずしも共通の認識になっているわけではない。河合先生たちが自治体といっしょにとりくんだ調査をもとに、その実相を浮き彫りにする。丁寧な取材がんされている。さすがに板垣さんたちの番組だ。経済的破綻が、医療や介護からの排除につながり、人間的関係への積極性を奪い、孤立を促進するさまが明らかになる。
と同時に、ではそれをどうするか。番組でも、最低限の文化的生活を保障する制度は生活保護だとは言っているが、そこへのむすびつけがあまりにも弱い。最低限の生活を保障する制度について、試案的な提言もなされている。年金制度や介護制度、医療制度など社会保障制度のさまざまな改革が必要なことはボクもそう思う。だけど、最低限の生活をささえる方策を考えたとき、結局は、生活保護の活用がもっとも合理的で、効果的だとは思うのだけど。なぜ、生活保護が捕捉率が低く、十分機能しないのか。それをどう改善するのかということに言及がないから、今後の制度をどうするのかが、わかりにくい話になってしまうようにも思えるのだけど。高齢者への社会保障の改善と、生活保護の拡充は、どちらも太くすすめるてこそ、実効性をもつと思えるのだけどなあ。
だけど、こうした実態を社会全体で共有していくこと、けっして他人事ではないこの実態を広く知らせていくという点では、とっても充実した内容だったと思う番組だった。
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