無戸籍20年、学校に一度も通えず 夜間中学で再出発
今日の朝日の記事。「見えない子ども」。
無戸籍20年、学校に一度も通えず 夜間中学で再出発(朝日新聞)7年前の夏、埼玉県鳩ケ谷市(現・川口市)の市立教育研究所長だった宮原重則(70)は、研究所の一室に当時21歳の男性を迎えた。
男性は出生後も親が戸籍を作らず、学校に一度も通ったことがなかった。元小学校長の宮原は男性に中卒程度の学力をつけようと、週2~3回のマンツーマン授業を始めたが、のっけから途方に暮れた。
ひらがなや数字は少し書けたが「8」は団子二つ、「6」のなぞり方は逆。足し算引き算は両手指で数えた。宿題を出してもやってこない。問題がわからないと身を硬くしてじっとした。「固まるのが彼の最大の武器だった」。どう教えればいいのかわからなかったという。
男性は20歳まで家族以外に知られることなく生きてきた。存在を知られたのは、自身が犯した事件がきっかけだった。
2006年10月、男性はスーパーでの窃盗などの容疑で逮捕された。警察の調べで住民登録をしていなかったことが判明。同居の母親に照会すると借金があり、債権者に居場所を知られたくないと、出生届も出していなかった。「テレビとゲームだけが友人という生活」(弁護人)を送っていたという。
「家族以外の社会との関わりをほとんど持たないような単調で閉鎖的な生活を繰り返し、生活空間の広がりが見られないまま成長してきた」。07年3月、さいたま地裁は男性の生い立ちを踏まえ、「教育と基本的な生活習慣や社会常識を身につけさせることが急務」と、執行猶予付きの判決を言い渡した。…
前回、中塚さんが書いた記事のいわば続編。今回は別の記者が書いている。
親に隠された子どもたち…国は「存在つかむ端緒がない」
ほんとうに見えない「貧困」。
市がこの男性を支援したが中断、その後、男性は関東の夜間中学に入学したそうだ。「寡黙だけどわからないところは一生懸命に聞いてきた」「一つのことを飽きずにこつこつできる子だった」と学校関係者は語る。当時の作文には学校生活について「楽しい」と繰り返し書かれているという。
支援のあり方が問われていると考えさせられる記事。
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