日本は戦争をするのか―集団的自衛権と自衛隊
半田さんの岩波新書を読んだ。さすがに自衛隊をよく取材されている方だけあって、今回も読ませる。いろいろ知らないことはある。
のっけから「不安定要因になった安倍首相 」といま現れている最大の矛盾をえぐる。「最高の責任者は私だ」という安倍さんの暴走ぶりを追及する。安保法制懇のトリックとして、あげられてる事例の空虚さというものを暴くわけだけど、これはいつもながらさすがだなあ。だけど、いちばん面白かったのが、「『積極的平和主義』の罠」のところかなあ。日本の政治がどこまできているのか、実際の自衛隊の姿と重ねながら明らかにする。つづいて、集団的自衛権の危険性を浮き彫りにするわけだけど、ここは、これまでの自衛隊のありようへの評価がちょっと甘い感じがする。専守防衛の自衛隊への評価はちょっと甘い。終章で、自衛隊の制服組の力の増大についてふれる。これは興味深い、と同時に、後書きで書かれている、政治との関係で主導権をにぎる外務省との関係や、自衛隊そのものが実際には、アメリカとの関係で育てられてきたことから来る、そういう対米従属性との関係で、制服組がどのような潮流としてあるのかは、もっと知りたい感じがする。自衛のために必要という国民意識がいってい広がる中で、変貌する自衛隊と集団的自衛権の問題。まだまだ突っ込んだ議論のテーマもたくさんある感じがする。
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