千葉)高校無償化、事務膨大 所得制限導入で現場に負担
理念という点でも、迷走していると思うけど、そもそもの制度設計という点でも、おかしなことになっていく。現実的に考えればわかろうものだけどなあ。
千葉)高校無償化、事務膨大 所得制限導入で現場に負担(朝日新聞)今年度から高校の授業料無償化制度が見直され、所得制限が導入された。教育現場では、授業料免除の対象者を振り分けるため、煩雑な事務作業に追われている。保護者からの提出書類がそろわず、免除を受けられなかったケースも出ているという。
授業料免除の対象になるのは、公立高校全日制・定時制・通信制の1年生で、年収910万円程度以下の世帯。2、3年生は旧制度の適用が継続し、卒業まで免除される。県教委は、県内の対象者を約74%の約2万7千人と見込み、今年度の予算に約30億9千万円を計上した。だが、実際の申請状況をみると、約8割に上るという。
申請には世帯年収の確認が必要となり、保護者は毎年度、課税証明書を提出することになる。4月までに前々年度分(1年のみ)、7月までに前年度分の提出が課せられる。
県教委は授業料免除の可否を確認するため、チェックシートを独自に作成。3月に各校で実施した入学前の説明会で保護者に配布していた。学校では個人情報保護の観点から、原則として事務作業に担任や教科の教諭は関わらせず、事務職員のみが担当。今年度から仕事量は膨大となり、負担も大きくなった。■目立つ書類の不備
県高校教職員組合(高教組)は今月、県内の事務職員に意見や感想を求め、30人からの回答があった。それによると「時間外や休日も出勤して対応せざるを得なかった」など、人手不足を指摘する声が目立った。
また「複雑な家庭状況の聞き取りをしなければならず、トラブルが発生するかもしれない」「所得に関することで、確認の電話を入れづらい」という意見も。再来年度には全学年が対象になるため、「保護者への連絡や書類のチェックに手間取り、対応できるか心配」と不安の声もあった。
提出書類の不備も目立ったという。「申請書に記入漏れがあった場合、本人に返すので、時間がかかる」「非課税証明書は出さなくてもよいと勘違いしている人が多かった」など。
高教組の堀川久司・中央執行委員長は「制度の周知期間が短く、学校現場の負担が大きい。申請書に1人親になった理由などを書かせる欄もあり、今後何らかの問題が出てこないかと心配している」と話す。
県教委によると、大きな混乱は起きていないが、期限を過ぎても書類を提出してこない保護者もいるという。財務施設課の荒木稔副課長は「制度の周知は十分に図った」としつつ、「故意に申請しない人もいると想像される。辞退するつもりで出さないのだと判断せざるをえない」と話す。■「中退減ったのに」
一方で、授業料無償化により、中退者が減少している。県教委のまとめでは、無償化が始まった10年度、県内の全日制高校の中退率は前年比0・18ポイント減の1・18%。12年度には1・07%と低下し、37年前ほどの水準となった。
子どもの貧困問題を研究している県立柏中央高校の鳥塚義和教諭は「中退率は1年間の退学者の割合で、実態を示していない」として、公立高校への入学者が3年後、どれくらい卒業したかという「卒業率」を独自に調べた。
無償化となるまでは92%前後だったが、3年生の1年間のみ無償だった10年度は92・5%、2、3年生で無償だった11年度は94・1%、全学年無償だった12年度は94・4%と年々上昇。94%台は21年ぶりだった。
鳥塚教諭は「無償化の効果を十分に検証せずに見直した」と指摘。「授業料免除を受ける保護者は今後も低所得の証明を強いられ、事務職員には家庭の事情を聞き出す心労もある。教育の平等の確保から所得制限は時代の流れに逆行している」と話している。
全国的にはどうなのだろうか?
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