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2014/06/12

大学生になるってどういうこと? 新刊 学習・生活・キャリア形成(シリーズ 大学生の学びをつくる)

176321 かなり冒険的な本。なかなか考えさせられる。だけど、違和感をもつ人もいる。それもよくわかる。ボクでも正直読んでいて、最後は頭を抱えたもの。
 本書の構成は、まず、大学に入学してくる学生が、若者としてどういう発達段階にあり、どういう課題をもってやってきて、学生生活のスタートにどんなことをかんがえてほしいかというところからはじまる。いまば入り口。続いて、大学でどう学ぶのか、その方法やスキルみたいなものが紹介される。つまり大学生活と学問という真ん中、そして最後は、出口の就職をどう見通すのかということ。だけど、後半になればなるほど、言ってみれば体制順応的な内容になってしまう。それは、出口の就職というものがどれだけ、大きく学生生活に影響をあたえ、大学の変容を迫っているのかということの現れでもあると思う。若者の発達のくだりでは現在の教育学の成果がふんだんにふまえられて読ませるし、学ぶスキルなどの個々の内容では、なるほどななどというものも少なくはないけれども、だけど、それをふきとばすぐらいに就職と大学の変容は大きいのだ。
 実際に、大学の教員と話をしていると、その変化は凄まじい。そもそもユニバーサル段階の入った大学で、これだけ深刻な就職圧力が存在しているのだから当然である。いわばその大学の変容を、ストレートに反映し、そのなかで模索するのが本書。
 だけど、一般教養も崩壊し、学問的達成なども軽視され、就職予備校化した大学のなかで、どうこの問題に向き合っていくのか? 実際に、この本では、そういう大学のありように批判的な視点はむしろ強いとは決して言えない。学問のあり方だとか、そこでどのような生き方を学んで行くのかなども、正直言って捨てられてしまっている。それもそのはずで、一大学の若手教員のとりくみだけではすまない大きな課題であり、問題提起であるからだ。しかも、これまでこの手の本で、民主的というか左翼系の出版社からだされた本は、運動に近い視点でつくられたものがほとんどだ。だけど、運動はいま必ずしも学生に近いところにあるわけではない。
 そもそも、ユニバーサル時代の教育があらためて問われる大学のありかたを考えたとき、大学の教育課程づくりというのは、政府や財界のそれではなく、民主的な側からも提起されていかなければならない段階にきているとボクは思っている。そういう議論が、あまりない。さらにいえば、学生をとりまく文化や生活なども含め、狭い意味での教育課程でない議論が必要だと思う。そして、そういう大学のあり方を考えていくとき、学生生活をゆがめる大きな原因となっている、高学費などの問題をいっしょに議論していくことも不可欠になっているように思えてくる。
 そんなことも含め、学生とともに、大学関係者、親、市民のあいだで、もっと議論すべきことをいろいろ考えさせてくれる本でもあるような感想をもったのだけれども。少なくとも、こうした議論を、学生の社会認識から学問観、そして生き方にどう結びつけていくのか、そのことについてもっと考えなければいけない状況にあるのだと思うのだけど。

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