福祉国家構想研究会 公開研究会
今日は昼からは、表題の研究会へ。
まず、渡辺治さんが「安倍政権の改憲構想の新局面~集団的自衛権限定行使論の狙いに焦点を当てて」。さすがに、改憲史の専門家である。前衛1,2月号でやってもらった90年代以降の改憲史という形ではなく、この間の動向に焦点をあてながら、それもとくに解釈改憲に焦点をあてての話だった。現在を軍事大国化の第三段階に入ったと定義づけて、その解釈改憲戦略を分析、とくに集団的自衛権限定行使論ついて、あえて、安保法制懇がとっている芦田解釈を捨てて、従来の政府解釈の延長線上に限定された集団的自衛権というものをもってきたその政治的なねらいなどの話は圧巻だった。
続いて、後藤道夫さんが「安倍政権の社会保障改革と労働改革」。安倍内閣のそれが小泉政権との違いの大きさをまず指摘。グローバル競争国家のなかで、社会保険給付の圧縮の理由付けとして、医療産業の競争力強化を掲げるようになっていることを指摘。あらためて、三党合意以降の動きを明らかにさた。そのなかで自助のなかに家族を組み入れ、福祉国家的施策は共産主義というようなアメリカ共和党型の保守主義をかかげるようになったと。そこで話された自助、共助、公助という枠組みの欺瞞についての整理は、とっても胸にせまった。そして、そのこととは無関係にもめる雇用改革にもふれながら、ボロボロの社会だけが残るとの指摘が強烈。
最後が、岡田知弘さんの「『グローバル国家』型構造改革の新局面」。財界の文章をかなりていねいに引用しながらの、分析。どこかでも、多国籍企業の利益が追求される安倍構造改革の本質がよくわかるものになっていると同時に、いま経済の分野でめざされていることのねらいが、ボク的にはとっても整理されるものになった。そのなかで国家戦略とっくによる岩盤規制の撤廃のねらい、農業、大学、地方政治と話はつづいたけど、なにが焦点になっているのか、あらためてよくわかった。とにく地方政治のところでの、人口減少による地域の崩壊論というもののもつ意味についての指摘は、これは大事だと思った。
いずれにしても、治さんの話は、改憲論の系譜という点で、結構、重要な勉強になったし、後藤さん、岡田さんの話は、ボクの苦手な分野の話で、とても頭をつかったけど、収穫も多かったということ。ダメですねえ、ちゃんと経済分野について見ておかないと、どのような政治がすすめられているのかの正体がぶれる。
いろんな人とも話ができたし、頭がつかれたけど、充実した研究会でした。
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