不屈館の「東京行動」伝える紙面切られる
うーん。嫌なニュースだ。
不屈館の「東京行動」伝える紙面切られる(沖縄タイムス)那覇市の「不屈館-瀬長亀次郎と民衆資料」で展示されていた新聞資料の1点が、はさみのような物で切られているのが見つかった。米軍のオスプレイ配備に反対する昨年1月の東京行動を伝える本紙の紙面で、記事の一部が読めなくなった。
紙面が置いてあったのは、スタッフがいる受付から死角になる展示スペース。基地問題の新聞記事を、手に取って読めるようにしている。内村千尋館長が10日に資料を整理していて気づいた。
内村館長は「アンネの日記が破られた事件を思い出し、気味が悪くなった。異論があるなら言うべきで、資料を傷つけるのは許せない」と怒った。警備会社と対策を話し合っている。
言論に対して、こういう暴力的な方法での対応が活発化している。しかも、あえて、権力の主張と同調する形で。これをどう考えればいいのか。
先日、朝日新聞には、次のような記事があった。
反「反基地」、沖縄で表面化 街宣・大会「左傾化を戻している」(朝日新聞)「米軍基地反対」への反発。これまでにない動きが沖縄で表面化している。15日で本土復帰42年となる基地の島で、何が起きているのか。
午前7時、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の通称・大山ゲート。オスプレイ配備に反対する十数人が、出入りする軍関係者の車にカードや旗を掲げて叫ぶ。「マリーン(海兵隊)、アウト!」。オスプレイが配備された2012年10月ごろからの活動だ。■抗議のリボン、燃えるゴミ
ここに毎週金曜、別のグループが立つようになった。「You are our good friends」。反対車線の歩道で、米軍への感謝を記した横断幕を広げ、手を振る。スーツ、Tシャツ、ジーパン。様々な格好の中年の男女20人ほどだ。「地元では基地や米兵に親しみを感じている人もいる」。昨年3月から活動を始めた手登根(てどこん)安則さん(50)は言う。
道路を挟む二つのグループの視線は重ならない。
手登根さんは隣の浦添市出身。自動車関係の会社役員だ。県民総所得に占める基地関係収入はいま5%ほど。それでも「基地が沖縄経済に占めるウエートも大きい」と語る。
先月、政府が普天間の移設先とする名護市辺野古に出向いた。前日に移設反対の集会があり、数百人が「基地建設は許さない」と声を上げた砂浜。米軍キャンプ・シュワブの金網に取り付けられた抗議のリボンや旗を取り外し、燃えるゴミとして捨てた。「リボンやテープをくくりつけて街を汚す運動は沖縄の恥だ」
3月。買い物客や観光客が行き交う那覇市の中心街で、数人の若者がマイクを握っていた。「自称平和運動家なる者たち。みんな労働組合、もしくは極左集団じゃないですか」
30代の数人を中心とする「チーム沖縄」の街宣活動だった。代表の森田草士さん(38)は、それが「実態」だという。「左傾化しすぎていたのを真ん中に戻そうとしているんです」
県外出身の会社員。2年前にネットを通じて反基地運動のリボンなどを外す活動に加わり、街頭にも立つようになった。普天間飛行場や、普天間の移設先とされた名護市辺野古での反対運動をビデオ撮影し、批判とともに、自分の実名でブログに掲載している。
■中国の「脅威」、訴えに共通
露骨な反「反基地」の訴えに、市民は戸惑う。「(金網に)テープを巻く人とはがす人、どっちが正しいの?」。普天間飛行場近くの40代の女性は、子どもに聞かれて答えられなかった。「『自分の目で見て判断して』としか言えなかった」。大山ゲートで基地反対の活動に加わる女性(75)は昨夏、カメラを突きつけられて何枚も写真を撮られたという。「『ばばあ死ね』とののしられたこともある。何とかしなければと思うんだけど」と悩む。
沖縄では12年以降、オスプレイ配備をめぐり反対運動が激しくなった。反「反基地」の動きは、その反動ともいえる。訴えに共通するのは中国の「脅威」だ。
昨年11月、名護市長選に立候補を予定していた島袋吉和・前市長の事務所開き。「辺野古移設推進」を掲げる島袋氏の周りには森田さんらと行動を共にする若者の姿があった。彼らは「我々のみが日本と沖縄を守るために戦いの声を上げた」と訴えた。移設推進の署名運動もあり、「3カ月で約7万5千人分が集まった」と県に提出された。
琉球大学の外間完信さん(21)は署名をした1人だ。那覇市出身。辺野古移設に反対する教授のゼミで学んだ。だが「中国の軍拡を考えると、普天間飛行場を県外や国外に移設させれば、抑止力が失われる」と思う。名刺には日の丸をあしらう。
県外の女性にこう言われたことがある。「沖縄は基地経済、交付金に依存しておきながら、していないと言う。物乞いの方がまだ素直でかわいい」。悔しかった。「沖縄は、国防という大事な役割を担う見返りとして利益を得ていると素直に受け止めるべきだ。二度とあんなことは言わせたくない」…
これもまた、気になるニュース。
もちろん、沖縄で、全体がこういう議論になっているわけではないし、そういう議論が勢いをましているというわけではなだろう。だけど、もともと、こういう指向性をもっていた人たちが、行動として活性化しているのは事実なのだと思う。
それを活性化させているのが、反中国の感情なんだろうなあ。つまり、活性化した一部の人たちのまわりには、漠然とした、中国に脅威を感じる時代の流れがある。と、同時に、そこには、十分な、基地をめぐる議論や、中国も含め、外交について、しっかりした議論がなされないことの反映があり、それがある種の苛立ちになる。現実に、尖閣という場所があるだけに、沖縄ではなおさらなのだと思う。
歴史的な経過や沖縄をめぐる現実にねざした、しっかりした議論の必要性。そんなことを感じる。決して、小さな問題ではないのだと思うのだけれども。
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