波よ鎮まれ (尖閣への視座)
沖縄タイムスの渡辺さんたちがつくった本。やっと読み終えた。
「尖閣をめぐって偏狭なナショナリズムが渦巻いている。」とりわけ、石原の買い取り発言と国有化以降、きわめて厳しい状況にある。それは沖縄ではなおさらであることが、読んでいてわかる。
だけど、国境だとか領土だとかは、国家がつくりだしたもの。その歴史的経緯よりももっとながいそこで暮らす人の交流の歴史があることはあたりまえのことだ。それは文化であり、産業であり、生活である。そこには国境も領土もない。
この本には、漁師や、この八重山の地で台湾とかかわりをもち生きてきた人、そして台湾からこの地に来た人たちが何人も登場する。その当事者の歴史の語りは説得力があり、切実でもある。それは、台湾の人々もまったく同じである。政治的には、ものの見方ではいろいろ違っていても、その人たちが大切に思うこと、大事にしようとしていることが伝わってくる。ここで暮らす人たちの声を、政治と国家の思惑を越えて大事にするためにはどうすればいいのだろうか。ほんとうによく考えたい。
そして、その人たちの語る歴史からは、ほんとうにボクらがしたなかったことがあまりにもたくさんある。どれだけ、東アジアや、東南アジアっていうものの歴史を自分は知っているのだろうか。よくよく反省しなければいけないと思った。たとえば南沙と日本…。
あまり考えていなかった視点もたくさんあり、学ぶことも、反省することも多かった一冊。
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