教育委員会制度論 歴史的動態と〈再生〉の展望
地教行法の改正で、教育委員会制度が変えられようとしているいま、三上さんの力作を、読み飛ばしていた部分も含めて読んでみる。歴史的に教育委員会の制度を振り返ることはいまとても重要だと思う。そもそものこの制度の原点とは何かのか。そこでめざされた教育行政のあり方とは何なのか。そして、どのようにこの制度への攻撃がはじまったのか。最初からどのような課題を抱えていたのか。そして、まず五六年の教育委員会法の廃止と地教行法で、何が変えられてそれがどんな問題を生むことになったのか。こういうことを読んでいると、なるほどいまの改革なるものが、制限が加えられて最後に残った、独立の合議体としての教育委員会そのものを葬り去ろうとしていることがよくわかる。だけど、五六年の改悪でつくられたゆきづまりを、さまざまな思惑から活性化しようという議論もその後おこっているのがおもしろい。ここには、教育委員会を一般行政の下に置こうという攻撃とは別の、文部省が一貫してそのもとに教育委員会をおこうとして教育委員会をまもろうとした思惑も見えてくる。一方で、それに対し、地方分権の流れもあって、その動きは複雑でもある。そういうなかで、準公選制や公募制のもとで、教育委員会再生のとりくみも全国であって、それがまた興味深いのだ。
いま最大の動きは、教育委員会を首長のもとにおこういうもの。教育長と教育委員長を一体化し、首長が任命する。そして教育総合会議だ。もちろん文科省は上意下達のいろんな手も打っているが。そういうなかで、この改悪をゆるさないことが大事。そして歴史のなかから、実践のなかから教育委員会の意義や意味を学び、再生への議論につなげたいものだなあ。
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