ペパーミントキャンディ
超名作として有名なはずだけど、実は、なかなか観ることができない作品。やっとやっと観ることができた! 今日は、久しぶりの完全オフ。まあ、朝から団地の草取りとかあって、単純に休んでいやれないのだけれどね。
イ・チャンドンの作品は、「オアシス」を観たことがある。すごい映画だと思った。この作品も、オアシスの、ソル・ギョングとムン・ソリが主演。そうか、大好きなムン・ソリはこの作品がデビュー作。チャングムやイ・サンでなじみのキム・ヨジンも初々しい。
ものがたりは1999年春。久しぶりに集まった労働組合の元仲間たちによるピクニック。そこに現れたのは、すべてを失い自暴自棄になっている主人公が、楽しげな元同僚を尻目に、鉄橋によじのぼり、向かってくる列車に両手を広げて立ちはだかるシーンからはじまる。
ここから、主人公がそういう自殺に至る人生が、逆回転で明らかにされる。その手法に映画が封切られた1999年当時大きな話題になったとも。物語は、その三日前、ヨンホは自殺を決意していて、ペパーミント・キャンディーの瓶を抱え、今は人妻となった死の床にある初恋の女性を見舞いに行く。さらに94年夏。35歳の主人公は事業で成功を収めていたが、妻は浮気しており、自分も妻を裏切っていた。87年春、新婚で刑事のヨンホは、学生運動家を激しく尋問し、バーの女と一夜の関係を持つ。84年秋には、新米刑事だった主人公は、労働組会員に拷問する日々。そんな時、スニムが訪ねてくる。彼は彼女を冷たくあしらい、同じ夜、ホンジャをホテルに誘った。80年5月。あの事件の日だ。光州事件で戒厳令下…。軍にいたヨンホは、暗闇の中で足にけがを負いパニックになって、女子高生に誤って発砲してしまう。79年秋。20歳のヨンホは、仲間たちとピクニック。彼はスニムに写真家になりたいという夢を語り、人生で最も美しい瞬間をかみしめていた…。
暴力に支配された主人公の、辛さや悲しみが、押し寄せてくる。随所に、その救いを求める葛藤の描かれる。だけど、ほんとうに、なした罪とそこでうけた傷はとりかえせないのだろうか? どうしようもないしんどさを感じる。だけど、同時に、その行為や悲しみは、大きな社会状況とは決して無関係ではない、ならば、どのように、その苦しみに向き合えばいいのか?
実は、この作品は厳密には、韓国映画ではない。文化解放した韓国とNHKが共同でつくった作品だそうだ。だけど、なぜこのような作品は、多くの人のふれない形になっているのかは理解に苦しむ。いずれにしても、かなり打ちのめされた映画だった。
« 生保改革シンポ「今なぜ、生活保護の大改悪なのか?」 | トップページ | 伊江飛行場、着陸帯4ヵ所完成 オスプレイ訓練増も »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 自民党総裁選への「現職」不出馬、菅義偉・前首相に続き2代連続…鈴木善幸氏や海部俊樹氏の例も(2024.08.14)
- 『沖縄県知事 島田叡と沖縄戦』と「島守の塔」(2024.07.28)
- 「奥能登に生きる〜2つの過疎の町と震災〜」(2024.07.21)
- 「膨張と忘却 〜理の人が見た原子力政策〜」(2024.07.18)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 『マリアの賛歌―石の叫び』(2024.06.15)
- 「サヘルと8人の子どもたち」(2024.05.26)
- ペンクラブが声明「国会の空洞化に抗議」 「適性評価制度」に懸念(2024.05.10)
- 大吉原展に行ってきた(2024.05.04)
「平和」カテゴリの記事
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 沖縄県の原告適格性、二審でも認めず 県は上告を検討 高裁那覇支部 新基地建設を巡る県と国の14訴訟で最後の係争案件 玉城デニー知事「残念」(2024.09.03)
- 自衛隊、宮古・八重山や奄美に新拠点検討 2025年度の概算要求 訓練場や補給の適地有無を調査 2027年度には那覇に対空電子戦部隊(2024.08.31)
- 関東大震災の朝鮮人虐殺、否定論やまず 公的記録、相次ぐ「発掘」(2024.08.30)
- 連載「未完」の辺野古 「辺野古移設は最悪のシナリオ」 在沖縄米軍幹部の語った本音(2024.08.26)
「政治」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 赤旗日曜版にJCJ大賞 自民派閥の政治資金不記載(2024.09.09)
- 河野大臣「自由に働き方を決められる制度が大事」 希望者には“勤務時間の上限廃止”も 働き方の規制緩和を表明(2024.09.05)
- 沖縄県の原告適格性、二審でも認めず 県は上告を検討 高裁那覇支部 新基地建設を巡る県と国の14訴訟で最後の係争案件 玉城デニー知事「残念」(2024.09.03)
「歴史」カテゴリの記事
- 10月号ができました(2024.09.11)
- 「エイジアン・ブルー 浮島丸サコン」(2024.09.10)
- 関東大震災の朝鮮人虐殺、否定論やまず 公的記録、相次ぐ「発掘」(2024.08.30)
- 「歴史抹殺の態度を変えさせなければ」8月31日に都内で関東大震災朝鮮人・中国人虐殺犠牲者の追悼大会(2024.08.25)
- 木原稔防衛相、終戦の日に靖国神社に参拝 韓国「時代錯誤的」と反発 :「ニライカナイには行けない」(2024.08.15)
« 生保改革シンポ「今なぜ、生活保護の大改悪なのか?」 | トップページ | 伊江飛行場、着陸帯4ヵ所完成 オスプレイ訓練増も »
コメント