東学農民戦争と日本 もう一つの日清戦争
もう一つの日清戦争とよばれる東学農民戦争は、日本では、東学党の乱だとか甲午農民戦争とよばれ、その戦争の性格がねじまげられて教えられてきた。しかし近年、中塚先生をはじめ、日本でも韓国でも、歴史研究がすすみ、その全体像が明らかにされつつある。本書は、一般の入門書の体裁をとるが、みごとに東学農民戦争の全体像をつかめる一冊になっている。ボクも、いろいろ本は読んできたつもりだったけど、はじめてこの戦争とは何だったのかをつかめたような気がする。
なによりも日本軍の王宮占領に抗して、全国各地の東学を学ぶ農民が抗日闘争に決起した。これに対して日本軍は徹底的な殲滅戦を行ったのだ。日清戦争は、朝鮮での主導権をあらそった、清と日本との戦争と考えれているが、しかし、東学農民戦争を併せて考えると、日本の朝鮮への侵略であり、抵抗を封じ込める支配のための戦争であった。だからこそ、朝鮮の人々の死がもっとも多いのだ!
平等をかかげた東学の思想は、その後と、この半島での抵抗と民主化を求めるたたかいとダブってくる。だからこそ、日本において東学の行動綱領を評価したのが、田中正造であったことも注目される。
日本は当時は、表向きは国際法というものをものすごく気を使うようなそぶりを見せていた。だけども、その内実は国際法をふみにじる無法の限りをこの戦争でも尽くしている。にもかかわらず、なぜ、この無法が国際的に問題とならなかったのか。また、韓国でも戦後すぐには、なぜ問題にならなかったのか。その経緯も本書ではよくわかる。だからこそ、この戦争に向き合うのは、現代の課題なのだとも思った。
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