福島原発の汚染水、1日300トンが海へ 経産省が試算
いったいこれは何なんだ。暗澹たる気持ちになってしまう。
福島原発の汚染水、1日300トンが海へ 経産省が試算(日経新聞)経済産業省は7日、東京電力福島第1原子力発電所から1日300トン(ドラム缶1500本分)の汚染水が海に流出しているという試算を初めて公表した。安倍晋三首相が同日の原子力災害対策本部で「国としてしっかりと対策を講じる」と表明したことを受け政府は汚染水や地下水のくみ上げ、水を遮るための凍土壁の建設などを急ぐ。
一方、東電は9日から原発周辺の護岸近くで、汚染された地下水をポンプでくみ上げる作業に着手することを発表した。回収した水は地上のタンクにためた後、建屋の地下にある汚染水とともに浄化処理に回す計画だ。
経産省の資源エネルギー庁が示した推計によれば、福島第1原発1~4号機では主に裏手の山側から1日あたり1000トンの地下水が流れ込み、400トンが建屋のひび割れ部分から中に入っている。残りの600トンは海に流れ、このうち300トンは建屋の地下とつながるトレンチ(坑道)などの高い濃度の汚染水と混ざってから海に流出しているようだという。
試算は東電が地下水の流れを制御できず、一部は汚染されて海に流れ続けてきた可能性を示す。経産省は1日300トンの流出量が推定値であり「厳密な評価はしていない」として、詳細な根拠を示さなかった。
だいたい、こうした実態は、いぜんから懸念されていたこと。なぜ、いま発表なのか?
しかも、今日、政府は、汚染水対策に国も支援すると表明した。だけど、現在の対策の方法は5月に経産省が東電に示した方法だ。それからもう3カ月だ。東電も後手だけど、国も後手後手の対応としか言いようがない。だいたい、一企業にこうした事故の終結を任せるということ自体間違っている。企業ベースであるかぎり、被害は小さく見積もられる。そのことを放置していたのが国だ。今回の対応も、ほんとうにすべての技術・叡智を結集しておこなっていると言えるような科学的な方法なのか?
しかも、なぜ、参院選後にこうしたことが出てきて、かつ、国会閉幕の日の政府が提起するのか? 国民も国会も蚊帳の外ということなのか?
という今日、次のような調査も公表された。
福島第一原発沖の海底、約30か所で高濃度セシウム(TBSニュース)東京大学が福島第一原発から20キロ圏内の海底の土に含まれる放射性セシウムの濃度を計測した結果、30か所あまりで局所的な高い値が確認されました。
東京大学生産技術研究所のソーントン・ブレア特任准教授らは、福島、宮城、茨城沖で海底の土に含まれるセシウム137の分布状況をおよそ400キロにわたって計測しました。今年2月までに福島第一原発から20キロ圏内の海底の土を調べたところ、周辺の海域に比べて5倍以上という局所的な高い濃度が30か所あまりで計測されました。このうちの20数か所では海底の地形が崖になっていたり、くぼんでいたりする特徴がみられました。
研究所では「こうした地形の場所では海流が弱いため、細かい粒子がたまりやすく、分散しにくいのではないか」としていて、濃度の変化などを引き続き調べることにしています。
そうとう深刻な量。そのうえに流出が続いている。
ほんとうに、最優先で、叡智を集めて、最大の対策をおこなわなければ。これは政治の仕事である(もちろん東電の責任を徹底して明らかにし、その責任を果たさせることも含めだけど)。どうなのかなあ。
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