強制連行された史実後世へ
橋下さんや安倍さんの日本軍「慰安婦」などの問題の発言で歴史認識があらためて問われているけれども、そうだからこそ、国民的な規模での歴史認識の共有が広がることがこの時期に問われているのだと思うけど。
強制連行された史実後世へ(長崎新聞)戦時中に多くの中国人が本県にも強制連行された史実を後世に伝えようと、「中国人原爆犠牲者追悼碑維持管理委員会」(代表・本島等元長崎市長)は、同市松山町の平和公園内にある追悼碑そばに、説明板を設置した。7日に現地で開く追悼式で除幕する。
追悼碑は、強制連行訴訟を支援した市民有志が2008年7月に建立。平和公園にあった旧長崎刑務所浦上刑務支所で被爆死した中国人32人の名前が刻まれている。維持管理委のメンバーが追悼碑を案内する際などに説明板の設置を求める声が出ていたという。建設費約50万円は寄付金で賄った。
説明板はステンレス製で縦横各64センチで、強制連行を「労働力不足を補うために、日本政府と企業が連携して推し進めた政策」とし、約4万人の中国人に過酷な労働を強いたと説明。本県にも4カ所の炭鉱に1042人が連行され、115人が死亡したとし、「非業の死を悼み、正しい歴史認識と日中友好を願う」と追悼碑の意義を記した。
市役所で1日会見した本島代表(91)は「(治安維持法など)取るに足りない理由で中国人が強制連行され、犠牲になったことを知るための参考にしてほしい」、メンバーの平野伸人さん(66)は「日中関係は良い状態でないが、原爆で亡くなった人を(国籍に関係なく)等しく追悼し、冷静に戦争を振り返る一助になってほしい」と述べた。
もう1つ、こんな記事もあった。加害の歴史を継承することの難しさも教えてくれる。
慰安所行った、でも話せない 元兵士「妻や子にも迷惑」(朝日新聞)旧日本軍の慰安婦問題に関心が集まっているが、元兵士たちはその体験を胸に秘したままだ。敗戦から68年、葛藤に悩みながら亡くなった人も多い。語れない理由とは――。
「家族にも一切明かしたことのない話だ」。関西地方の90代の男性は6月中旬、喫茶店で記者にそう切り出した。
太平洋戦争が開戦した1941年、旧満州(中国・東北部)の国境守備隊に配属された。兵士は約1万人。ソビエト連邦(当時)と川一つ隔てた小さな町に慰安所が4軒あった。うち1軒が下級兵士が利用できる軍指定の施設だったという。「内地には公娼(こうしょう)制度があったから不思議には思わなかった」
月1回、外出が許可されると慰安所に通った。建物の特徴から「白壁の家」と呼ばれ、いつも順番を待つ若い兵士の行列ができていた。相手にする女性は朝鮮人だった。時間は10分程度。心の安らぎもないまま事務的に済ませて、外に出たという。
慰安婦と日本語で会話を交わすこともあった。でも、「なぜ、そこで働いていたかは聞かなかった」。男性自身、死を覚悟する毎日だった。彼女らがかわいそうという感覚はなかった。「ぼくらも消耗品。自由を奪われたかごの鳥同士、同類相哀れむような感覚だった」
心に閉じ込めていた記憶がよみがえったのは、5月中旬、日本維新の会共同代表の橋下徹・大阪市長の発言をきっかけに、「慰安婦」問題が連日報じられるようになってからだ。慰安婦を思い、「残酷な人生や」と胸が痛んだ。
「(当時)慰安婦は必要なのは誰だってわかる」と語った橋下氏に憤りが募った。「戦場を見てきたかのように軽々しく言ってほしくない」。だが、そんな葛藤も人前では語れない。「ぼくらが何を言っても世間にたたかれるだけ。それに話せば妻や子、孫にも迷惑がかかる」
大阪府の元兵士の男性(93)も、橋下発言をきっかけに、慰安所の記憶を細部まで思い出した。日中戦争が始まって3年後の召集で砲兵になった。
初年兵のとき先輩に慰安所に連れて行かれ、行列に並んだ。自分の順番が来る直前、小屋を覆うアンペラ(むしろ)から、慰安婦の女性が力なく兵士に組み敷かれる姿が見えた。ショックで逃げ出した。
「故郷で待つ恋人を思い出して我に返り、純潔を守らんとと思った。それがなかったら、行っていた」
兵士の強姦(ごうかん)を防ぐために慰安婦や風俗の利用が必要――。そう主張する人もいるが、経験から照らして疑問だと思う。「若い兵士の中には、慰安所で女性を知るとしんぼうたまらなくなり、強姦に走る者もいた」…
ましてやこれまでは戦友会や遺族会などの縛りも存在した。
事実、この記事の広範で、「女たちの戦争と平和資料館」館長で、元NHKディレクターの池田恵理子さんが、元兵士の圧倒的多数は「戦場の性」について正面から語らないままという事実を指摘し、「加害責任の希薄さに加え、性的な問題を語るのは恥という意識も妨げになった。慰安婦問題が南京大虐殺と並んで政治対立の争点になると、タブー視する空気が一層広がった」と言っている。
野田正彰さんも次のように言う。「良心の痛みを伴う戦場体験を、戦後世代はどれだけ真剣に聞いてきただろうか。少数ながら、自分のおかした行為を証言してきた元兵士もいる。その勇気ある証言を社会がどう受け止めてきたかも問われている」。私たち受け継ぐ側が、どのように聞き取っているのかということも問われていることも自覚しないといけないなあ。
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