「慰安婦」バッシングを越えて 「河野談話」と日本の責任
表題の本をパラパラ読み始める。なかなかの力作ぞろい。出版記念シンポジウムには別の用事があっていけなかったので。
なかでも、中西さんの「なぜ多くの若者は『慰安婦』問題を縁遠く感じるのか」に注目して読む。大事なことを言っているのだと思うけど、やっぱり難解(苦笑)。
そもそも自己主張の回路を奪われている。それはそうだ。しかも、政府の公式見解や平和教育の内容などは「建前」の議論として、体験し続け、そこでの歴史的現実が自分の生きている世界と地続きだという了解ができない。うん、なるほど。だから、歴史像を転覆するような言説にあうと解放感を感じる。言ってもいいんだと。ここまでは、ほんとうに時代の空気なのだと思う。
アジアの経済成長と日本経済の衰退のなかでの焦りが維持願望、これはよくいわれることだ。ここで「反日」がターゲットにされる。排外主義の広がり。
だけど彼らは孤立している。そして発言しているは実はごくわずかな人なのだろう。その周りに人が集まる。同調、感情の共感。その背景に、「スクールカースト」ともとでの共感動員のような文化的な土壌があると言うことなのかな。
いずれにしても、いまの若者をとりまく、人権状況はきわめて劣悪で深刻だ。自分は人として大切にされているという体験の欠落のもとで、いくら「慰安婦」の人権の問題を熱く語っても、リアリティは生まれない。だけど、同時に、彼らには「ジェンダー」的告発は、ある種の違和感ある、引く対象か? そこにも若者をとりまく文化的状況がある。抑圧への批判を共有できるような転換をすすめる文化的な回路。そういうものをこの歴史認識の問題をめぐって、若者とのあいだいにつくっていくということがもとめられうということなのかなあ。
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