幸せの戦後史
本の帯には、「豊かさと信じたものは、果たして何だったのか。戦後、人は何を求め、生きてきたのか。家族・自己・労働に焦点を当て、歌、映画、小説から仕事、暮らし、性、さらには宗教、アニメまでを題材に、60余年の社会意識の変遷を追う」とある。現在社会は、変容し、とかく個人化の時代といわれる。社会構造という大きな物語は終焉し云々と。だけど、現実には、個人の個化された生活は社会の実際にありようとは無関係でいられるはずがない、つねに社会も対置された形でわれわれは生きている。そこで、問いかけられるのがその社会をどう認識するのかという問題でもある。この本が、読んでいて、いろいろ考えさせられるのは、そういう社会の構造的なあり方が、きわめてするどく反映している、雇用や家族という問題から論じていることだ。流動化する雇用、解体する家族のもとで、人はどう生きるのか。そこでの自己をどう考えるのか。かけど、それは示唆だけにとどまる。多分に社会意識にこどわる著者は、その向こう側にある社会構造とむすびつけて論じはしない。文化のうちの社会意識の議論は、ときには、きわめて思弁的、観念的な議論になっていくのだけど。だけど、それでも、この本は、戦後史を書くことをとおして、いまの日本社会のあり方を問いかけている、そういうところが魅力であり、おもしろい。聞きなれた音楽や、思い出深い映画のシーンとともに。
あらためて、戦後史をやってみたいと思う。これから自分がやる仕事のなかで、本格的な戦後史をやることで、今の社会を問うことができればどれだけ、すてきだろうと思うなあ。
« 重重 中国に残された朝鮮人日本軍「慰安婦」の物語 | トップページ | 改憲議席3分の2をめぐって »
「読書」カテゴリの記事
- 8月号ができました(2026.07.07)
- 伊藤さんのデモについての論考(2026.06.12)
- 前衛7月号ができています(2026.06.09)
- 「国旗損壊罪」などなど(2026.05.16)
- 前衛6月号ができています(2026.05.09)
「政治」カテゴリの記事
- 「スパイ 機密と監視の境界で」(2026.07.13)
- 「大阪教育集会2026」(2026.07.11)
- 寝苦しい夜になってきた(2026.07.10)
- 梅雨明けの様相(2026.07.09)
- 最終盤の国会(2026.07.08)
「経済」カテゴリの記事
- 「スパイ 機密と監視の境界で」(2026.07.13)
- 「大阪教育集会2026」(2026.07.11)
- 寝苦しい夜になってきた(2026.07.10)
- 最終盤の国会(2026.07.08)
- 8月号ができました(2026.07.07)
「歴史」カテゴリの記事
- そう簡単に解決するわけではない(2026.07.01)
- 「悲しみのピーア 海底炭鉱で待つ183人」(2026.06.30)
- 患者さんの痛み 写真家の葛藤 〜水俣病 公式確認から70年〜(2026.06.28)
- 2026年の慰霊の日(2026.06.23)
- 沖縄戦とスパイ、そして牛島司令官(2026.06.22)


コメント