講座第1巻『子どもの生活世界と子ども理解』を読み合う
今日は、午前中は、地元の市議の事務所開き。いろんな切実な声がだされ、なかなかいい会だった。そして、午後からは、教育科学研究会連続フォーラム 第1回企画 講座第1巻『子どもの生活世界と子ども理解』を読み合うに参加してきた。田中孝彦さんの編集の本だから、やっぱりいかなくっちゃねえ。
コメンテーターは、北海道檜山の中山晴生先生。ボクは彼の実践報告を教研集会で2度ほど聞いたことがある。地域の自然のなかで、子どもの感情や発見を大切にした豊かな実践をする先生。根っこのある教師という視点から話された。とくに、教師としての「負の感情」、葛藤というところに焦点を当てながら、子ども理解をどう深めるのかというところを話されたことに共感した。もう一人は、都立特別支援学校院内学級担当教員だった斉藤淑子さんが、この本を読んだ感動とともに、病気の不安のなかで、さまざま思いをかかえての子どもの成長の話をされたのが印象的。
さて、この本の感想。まだ、最後まで読んでいないので読んだ範囲でだけれども。
あらためて、いま子どもたちが抱えている”傷”や”不安”の大きさ、その新しい様相というものを考えさせられる。それは明らかにいまの社会のありようの反映でもあると思う。とくに貧困という問題。
「子どもを理解」するということを考えたときに、実態の社会科学的な分析だとか、一方で考えるけれども、いまの時代はその子どもの困難は個別で複雑で多様でもある。そういう点で、この本は、いわば実践にそくしながら、そこにある子どもの実態そのものや、その声にていねいに光をあている。そこにある実践は、やはり、そういう個々の子どもの姿を受けとめ、その声を聞くことに徹しているということが特徴。
そしてそこへの接近は、方法論というよりも、哲学というか思想というものに近いと思う。そういう考えをもとにした接近を試行錯誤が繰り広げられている。だから、実践者には苦しみも、迷いもあるし、失敗もあり、葛藤もある。ここに書かれた子どもの困難やそこでの成長に涙し、教師や支援者の実践に共感する。何度か読んだ方の実践が多いが、ほんとうに心がゆさっぶられる。そして、だからこそ、専門家の集団によるていていな議論、ここでいうカンファレンスが大事なのだと。
「生活世界」をどう考えるのか、そもそも「子ども理解」をどう考えるのか。とくに「理解」ということと同時に、子どもが成長や発達の主体であるということとの関係をどう考えるのか。いろいろ考えるべきことも多そうだ。そして、今日のフォーラムで片岡洋子さんが行っていた、この本を学生と読み込んでいくむずかしさということをどう考えるのか。たぶん、教師のあいだでは、中山さんが行っていた自分語りというのがポイントになるのだろうけれども、では学生との間では、父母や市民とのあいだでは?そういう問題もたくさん提起されているというころなのだろうなあ。とくに本書ではだされている子どもの姿が、一般には特殊ともいわれるような面があり、その姿と多くの子どもたちとの地続きの姿をどう理解するのかなどなど。大事なことを考えさせられるのだ。
追伸。同時に、こういう共感的な関係が、社会全体にひろがればなあと思いながら読んだ。社会的な運動もふくめて、もっとこういうものが基盤になるような哲学みたいなものが広がれば。そこももうちょっと考えたい問題だとも。
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