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2013/06/05

国連拷問禁止委員会の総括所見に関する会長声明

 国連の拷問禁止委員会は、拷問等禁止条約の実施状況に関する第2回日本政府報告について2013年5月21日、22日に審査をし、同月31日に総括所見を発表しました。日本は、同条約の批准国として、勧告された内容につき改善に向けて努力する義務を負います。そのことについて日弁連が会長声明を発表し、今回の総括所見では、前回審査における勧告の多くを繰り返すのみならず、前回を上回る厳しい勧告がなされたこと、特に重視すべき内容が、7点あることを指摘しています。その会長声明はこれ。

 実は、この拷問禁止委ではおどろくような事件があった。今日の東京新聞が報じているのだけど、詳しくは小池振一郎弁護士がブログで書いている。くわしくはブログを読んでいただくとして、大要はこうだ。
 小池さんは、5月21日、22日の2日間、ジュネーブの国連で拷問禁止委員会の日本政府報告書審査を日弁連の代表団の一員として、傍聴したそうだ。最終日の終了時間が近づいてきたころ、アフリカのモーリシャスのDomah委員(元判事)が、「(日本の刑事司法は)『中世』」と衝撃的なコメントがあった。それまで、各委員から、取調べに弁護人の立会がないのはなぜか、と質問され、日本政府が、取調べの妨げになるからなどと答えたり、取調べ時間が制限されていないという指摘にも、誠意をもった回答をせず、不誠実な官僚答弁に終始していたから、委員たちはいらだっていたようだ。そこで、Domah委員の「弁護人に取調べの立会がない。そのような制度だと真実でないことを真実にして、公的記録に残るのではないか。弁護人の立会が(取調べに)干渉するというのは説得力がない…司法制度の透明性の問題。ここで誤った自白等が行われるのではないか。…有罪判決と無罪判決の比率が10対1(㊟100対1の間違い)になっている。自白に頼りすぎではないか。これは中世の名残である。こういった制度から離れていくべきである。日本の刑事手続を国際水準に合わせる必要がある。」と、ズバリとメスを入れたコメントになったと言うわけだ。これに対して、日本政府を代表して挨拶した上田人権人道大使が、「先ほど、『中世だ』という発言があったが、日本は世界一の人権先進国だ」と開き直った。大使はあわてて、「人権先進国の一つだ」と言い直したそうだ。だけど、会場は声を押し殺して苦笑する雰囲気…。なんと、大使は、「なぜ笑うんだ。笑うな。シャラップ!シャラップ!」と叫んだそうなのだ。
 小池さんは「日本の傲慢さを目の当たりにした印象だ」と言う。「アフリカの委員にまで言われたくない、という思いがあったのだろうか。戦前、このジュネーブの国際連盟で日本が脱退した時も、こんなだったのではないかと、思わず連想してしまった」とも。国連の機関が当該政府と委員会の建設的対話で運営される意義をはたして理解しているのかと。本当は、「この『中世』発言と『シャラップ!』は新聞の1面トップに大きく報じられて然るべきだと思うのだが」とも言っている。そして、第2回勧告が出されたというわけなのだ。そうとう深刻な話だと思ったけど、どうなのだろうか?

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コメント

 英語を話す能力とはリスニングやスピーキングの技術だけでなく,相手との間合いを配慮しつつ交わす「おとなの会話」ができることでもあるでしょう.でなければ自分の意思が正しく相手に伝わらないし,相手にたいへん失礼な発言になる可能性もあります.そういう基準で考えれば,この大使様は,いかに能弁であったとしても,十分な英語力をもった人とは言えないと思います.

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