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2013/05/10

「受忍論、また戦争怖い」 東京大空襲 敗訴確定

 今日の朝刊の悔しいニュース。裁判は、たまに画期的なものもでるが、なかなかこういう根幹にかかわる見解はかわらないのだよなあ。

「受忍論、また戦争怖い」 東京大空襲 敗訴確定(東京新聞)

 一九四五年の東京大空襲の被害者らが国に謝罪と補償を求めた訴訟で、最高裁が原告側の上告を退ける決定をしていたことが九日、判明した。旧軍人らには補償があるのに、空襲被害者に何もないのは法の下の平等を定めた憲法に反するという訴えを門前払いした。賠償を認めなかった高裁判決が、なぜ憲法違反に当たらないのか根拠も示さなかった。全面敗訴が確定し、原告らに怒りが広がった。
 「戦後六十八年たち、精神的、体力的に限界。私たちに死ねと言うことじゃないですか」。原告の豊村美恵子さん(86)=千葉県我孫子市=は、最高裁の決定に「何のために頑張ってきたのか」と涙声で憤った。
 一九四五年三月十日の大空襲の夜、出札係をしていた国鉄上野駅で宿直をしていた。翌日、深川区(現江東区)の自宅に戻ると、焼け野原が広がっていた。海から引き揚げられた遺体の中に母親を見つけ、防火活動をしていた父親と姉、弟も亡くなっていた。
 八月三日。王子区(現北区)の赤羽駅付近で電車に乗っていた際、米軍機の機銃掃射に遭った。腸が飛び出した男性をぼうぜんと見ていたとき、血に染まった自分の右半身に気づいた。出血で意識が薄れ、運ばれた病院で「手を切らないで」と頼んだ。麻酔から覚めると、右ひじの先が切断されていた。
 義手を付けたが、「絞る、切る、結ぶ、押さえる」といった動作もままならない。腕がしびれ、眠れない。戦傷病者戦没者遺族等援護法で国から補償されるのは軍人・軍属だけなのに、「戦争でけがをしたなら、お金がいっぱいもらえていいね」と間違われ、悔しい思いをした。
 「国は、私たちを戦争の被害者と認めてくれなかった」と、犠牲者の遺族会で提訴を提案。空襲の負傷者や遺族ら百十二人が原告となり二〇〇七年、集団訴訟を起こした。賠償請求の形を取ったが、国が被害を放置して被災者が苦しんだ事実を知ってほしかった。
 「戦争被害は等しく受忍すべきだ」という国の論理に危機感を抱いてもいた。自分たちが我慢したら、また戦争が繰り返されるのではないか。「何回戦争をやっても、国民がどんな被害を受けようとも国は『受忍義務』と言えば済むことになる」
 四年前、「裁判が終わるまで生きていたい」と八十二歳で心臓を手術した。障害者の苦しみを伝えるため、最高裁に義手姿の写真も提出した。そんな悲壮な決意も司法には届かず、官邸前での座り込みも考えている。「倒れるまで訴えなければ。人生最後ですから」

 戦争被害受忍論とは、「戦争の損害は国の存亡にかかわる非常事態の下、国民が等しく受忍しなければならなかった」とする論理。最初は、海外からの引き揚げ者が外国に接収された財産の補償を日本政府に求めた訴訟で、1968年に最高裁が訴えを退けた際に示した考え方で、原爆被爆者へ国家補償をすべきかどうかを審議した政府の懇談会の答申(80年)でも、根拠とされてきたものだ。高裁判決でも、結局は、この受忍論だった。
 東京大空襲の訴訟団のHPでも、結局、この論理が、戦争の責任をあいまいにするものにほかならないとの批判でうまっている。
 さて、政治の責任はどうなるのだろうか?

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