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2013/04/20

労働組合運動とはなにか ―― 絆のある働き方をもとめて ――

0025960 ボクは熊沢ファンである。この講座も、許されるなら大阪まで通って、直接、聞きたかったなあ。ワクワクしながら、読んだ。時間があれば、ちゃんとノートなどとって見たいものだ。

 これが、岩波の紹介。

 現代社会には競争が溢れている.その中で勝者たり得るものはごく一握りに過ぎず,多くの人は敗者になることをまぬかれえない.敗者には「負け」を決定づけられた競争に「再チャレンジ」する以外の道はないのか.敗者が敗者の立場のままで,ノンエリートがノンエリートの立場のままで生きていくことは,この日本において不可能なのか――.
 それを可能にする試みこそが労働組合なのである! 本書では労働組合の思想・機能・多様な形態を論じ,その歩んできた軌跡を辿りつつ,現代日本の労使関係を批判的に考察する.労働組合がなぜここまで嫌われ,支持されないのか.その現実をどのように乗り越えていくべきなのか.ユニオニズムの新しい展開を探る.

 これだけ、個人が分断され、自己責任論にとらわれて、新自由主義が幅を利かす時代に、対抗的な労働組合の力が小さい日本でどのように運動をつくっていけばいいのか。そのために労働組合の復権の道筋はどこにあるのか。そんなことを思っていて、この本を手に取ったのだ。

 もちろん、展望というか、答えがそこにあるわけでは決してない。だけど、やっぱりちゃんと向き合っていかねればと思わせてくれる。
 もともと、ボクは、ものすごく特殊な仕事をしていることもあり、労働組合運動の経験はない。いちばん近くで労働組合とつきあったのは、学童保育での労働争議(地労委でのたたかい)だけど。きちんと、労働組合運動の勉強を系統的にしてこなかったことを悔やむ。
 熊沢さんの議論はリアリズムだ。この本は、まず労働者の労働生活の実態みたいなものに即して、労働組合のありようを考える。欧米労働組合運動の歴史をたどりながら、労働組合の意義や課題をみつける。これが、前提。
 さらに、日本の労働運動の歴史のふりかえりながら、労働をめぐる問題をおおざっぱに分析する。そのうえにたって、現在を、非正規労働と正規労働の視点から明らかにする。なぜ、非正規労働の問題がなかなかすすまないのか。なぜ労働組合は「個人の受難」に寄り添わないのか?
 そして未来を考える。若者と労働組合、女性労働者の立ち位置、企業別組合の未来と限界、ノンエリート社員たちの職場組合主義の可能性、そして中小企業労働者の連帯と非正規労働者たちのユニオン。芽は小さいし、困難ばかりなんだけどねえ。だけど、リアルな働くものの生活と思い、そういう現状によりそうことからしかないよなあ。いずれにしても、労働組合抜きに、現代の歴史的な経緯はわからないし、今後の運動の未来も描けない。労働組合のたたかいなしには働く現場は変わらないのだ。労働組合は規範をつくらなければならない。労働にかかわる規制力のない労働組合ではだめなのだ。現状への怒りと憤り、それをなんとかこじ開けようという熊沢さんの強い思いが伝わってくる。

 以下、熊沢さんの言葉。


 非正規労働者はもとより正社員も労働の状況はひどすぎる、それはわかる、しかし労働組合はどうもねぇ、いまの組合ってどこにあるの? どこで労働者のしんどさを救ってるの? 労働条件の改善ってやっぱり政府の仕事じゃない──そう感じている人は、例えば護憲や脱原発を叫ぶ隊列のなかにもわりとあるのではないでしょうか。
それでもふつうの労働者にとって労働組合というものが不可欠なのはなぜか。組合にはなにができるのか。これまで戦前・前後の欧米と日本で、労働組合運動はどのように「絆のある働きかた」を闘いとってきたのか。しかしこの日本でとくに組合運動の成果がみえなくなったのはなぜか。日本の企業別組合にはどこに病弊があるのか。そしてこれから、この日本で、多様な雇用形態で働く人びとが生活向上とそれを可能にする発言権をわがものにできるような、多様で自由な労働組合運動を擁する道はどこにあるのか。私の新著は、240頁のうちに対話体(です、ます)で、これら組合運動にまつわるほとんどすべてを、歴史やエピソードをふくめて具体的に、情理をつくして語っています。

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