内閣府調査にみる非正規社員の仕事と結婚
FBである人が紹介していた記事。ちょっと便乗して紹介。
内閣府調査にみる非正規社員の仕事と結婚①結婚 経済的不安、未婚に直結(しんぶん赤旗)内閣府は増えつづける非正規社員に焦点をあてた「未婚男性の結婚と仕事に関する意識調査」結果をまとめました。有効回答数は、20歳以上55歳未満の未婚男性1万72人です。比率は、正社員56%、非正規社員44%でした。「収入」や「雇用」など5回にわたって調査結果をみてみます。1回目は「結婚」です。
今回の意識調査によると、「結婚していない理由」のトップは、正社員では「適当な相手にめぐり合わない」(47・0%)でした。
一方、非正規社員が「結婚していない理由」のトップにあげたのは「収入が十分でなく結婚後に生活していくためのお金に不安がある」(46・1%)でした。経済的理由が非正規社員の結婚の妨げになっていることが浮き彫りになっています。
「結婚生活を送っていく上での不安」(複数回答)は、「経済的に十分な生活ができるか」が、正社員45・8%、非正規社員61・6%でともに最多でした。しかし、2位をみると、正社員は「自分の自由な時間がとれなくなる」35・3%にたいし、非正規社員は「雇用が安定していない」34・2%でした。
「結婚する時点で必要な(自分の)年収」では、多い順に正社員は「400万円~500万円未満」「500万円~600万円未満」で、あわせて45・2%。非正規社員では「300万円~400万円未満」「400万円~500万円未満」であわせて52・3%となっています。
これが、3月30日付の記事。
続いて②収入「非正社員3割、自立できず」として、「昨年1年間の所得」は多い順に、正社員が「300万円以上400万円未満」23・1%、「400万円以上500万円未満」18・9%。300万円以上が71・8%に対し、非正社員は「100万円以上200万円未満」32・9%、「200万円以上300万円未満」25・9%。300万円未満が82・2%。なかなか自立できない状況が浮き彫りになる。続いて③雇用では、「現在の雇用形態を選んだ理由」、非正規社員は「正社員になりたかったがなれなかった」が39・0%、「正社員に限らず他に仕事がなかったから」が28・4%。「入社時は非正規社員だったが、その後正社員に登用された」は7・6%、「別の会社時は非正規社員だったが正社員で採用された」が2・2%。④仕事では、「現在の仕事に対する満足度」で「満足」が正社員41・7%、非正規29・4%。「不満」は正24・4%、非正規34・0%。「不満の理由」では「賃金が安い」が正64・5%、非正規70・6%、「ストレスを感じる」正46・2%、「雇用が不安定」44・8%。⑤は「今後」で、非正規の多くは正社員を希望していることがうきぼりになっている。
調査そのものは未婚男性の意識調査だけど、半数近くが非正規である。そのことに注目して、非正規の個票を用いて分析したその結果が、これ。題して「未婚男性の結婚と家族形成に関する意識について 非正社員に焦点を当てた実証分析 ~『未婚男性の結婚と仕事に関する意識調査』の個票を用いて~」。
なかなか面白そうな分析だ。
正社員と非正社員では、結婚に対する価値観に大きな違いは見られない一方で、非正社員は、将来に対する雇用状況や所得の不安が結婚に対して消極的にさせていることが伺えた。
正社員と非正社員では、就労状況については、総労働時間、勤続年数、週末の勤務状況など、正社員と非正社員で違いがみられたが、非正社員の中でも、契約社員・嘱託、派遣社員等、パート・アルバイトの雇用形態で、違いが見られる結果となった。たとえば、勤続年数については、契約社員・嘱託とパート・アルバイトでは、勤続年数が5年以上の者も3割を超えているが、今後1年間の失業不安を感じる者は、非正社員では5割程度おり、
特に派遣社員等は7割弱と高く、雇用への不安に違いが見られる。
また、総労働時間についても、パート・アルバイトでも正社員を含む他の雇用形態と変わらない 40 時間以上働いている者もいるが、パート・アルバイトは土日勤務やシフト勤務の者が4割を超え、労働時間の設定が異なることが伺えた。一方で、経済状況については正社員では、年代が高くなるにつれ所得はあがっていくが、非正社員では、各年代において年収「300 万円未満」の割合が7割以上となっており、正社員と非正社員の間に大きな差
が見られる結果となった。
非正社員の多くは雇用や収入の安定を求めて正社員になることを希望しているが、非正社員から正社員への移動は少ない状況が伺える。現在、正社員として働いているものは、卒業直後から正社員として就職している者が多い一方、非正社員は、特に若い世代において、正社員として採用される機会が無かったという消極的理由により非正社員という雇用形態を消極的に選択しているという状況がみられる。また、将来的には、「安定性」が期待できる正社員への転換することを希望する者もいるが、一方でその転換の難しさから非正社員でいつづけるという消極的選択をするものもみられるなど、非正社員にとって、正社員への転換は難しい状況となっている。
1 フルタイムの非正社員の結婚意欲や子どもの希望は 20代では正社員と変わらず、非正社員で結婚したいと思っている者は正社員を希望する傾向が高いことから、特に若年層の雇用対策が重要な意味をもつと考えられる。非正社員であっても結婚し家族を形成していくことができるような雇用環境や社会的環境が整備されなければ、晩婚化や少子化が一層進展することとなる。雇用環境の整備としては、正社員への登用だけを政策として論じて
も、正社員の雇用が増加しなければ、効果は限定的でしかない。経済全体のなかで、雇用が創出されることが求められ、そのなかで、能力開発により、新たな仕事にも就くことができるような雇用対策が重要となる。第 1 部でみたように、企業による OJT や Off-JT の受講経験のある者の方が自分の職業能力を向上させる取組をしている割合が高いが、非正社員の職業能力開発については、企業による投資のインセンティブが少なく、正社員との
格差が指摘されている34。社会全体として非正社員のキャリア形成を支援していく仕組みを広げていくことの検討35が求められる。また、雇用形態や労働時間が正社員に近い者も正社員を希望する傾向がみられることから、仕事の内容・責任等に応じた公正な処遇も求められている。
2 年齢が高くなるほど結婚意欲が低くなる傾向がみられ、30 代ではフルタイムであっても長期雇用を前提としていない雇用形態では結婚意欲が低くなっている。また、非正社員では正社員希望も年齢が高くなるほど減る傾向が見られる。今後の可能性として、年齢の高いグループでは未婚で非正社員でいる可能性が高いと考えられる。高齢期における経済的問題やセーフティネットの整備等の観点からも、非正社員の処遇改善や職業能力開発と
ともに、働き方に中立的な社会保障制度の確立や社会的サポートの充実が求められる。
正規で年齢があがり、さらに非正規で年齢があがるほどの、相関関係のある調査が多い。そこに厳しさが出ている。
うーん。どうしても、息子らのことが頭をよぎる。
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