詰め込み保育「目届かず」 面積基準緩和を検証
いまから4年前に最低基準の規制緩和がすすめられたとき、保育学会が、反対の声明を出し、日本の最低基準が世界的に見て遅れた状況にあり、改善が必要なことを訴えたことを思い出す。その声明はこれ。
しかしいまは、よりひどく、子どもの安全に直結する事態となっている。
詰め込み保育「目届かず」 面積基準緩和を検証(東京新聞)「待機児童を減らすために詰め込み保育にするのはやめて」。保育士らでつくる全国保育団体連絡会は二十八日、東京都内の保育園を使って、面積の違いによる保育への影響などを現場検証した。同じ面積の中で過ごす人数が多いほど、目の行き届かない子どもが増えることなどがあらためて確認された。保育士らは「詰め込みでは子どもの健全な成長、発達は保てない。保育の『質』を保った上で『量』の議論を」と訴えた。
認可保育所に入れない子が多い都市部などで、基準を緩和し待機児童解消を図ろうという動きがあることから、危機感を抱いた団体が開いた。
保育所面積の国の最低基準は、ゼロ歳と一歳児が一人当たり三・三平方メートル、二歳児以上が一・九八平方メートルとされる。実態として、ゼロ歳児は五平方メートルを確保する認可保育所が多いが、さいたま市では今月、二・五平方メートルまで緩和する条例改正案が提出され、継続審議となった。
政府は二〇一五年度に導入予定の新たな子育て制度に向け、保育のあり方や面積、人員基準の検討を進める。規制緩和の懸念が高まる中で、少ない面積で異年齢の子を保育する状況が増えることが想定されるため、ゼロ~二歳が一緒に過ごす場合に「遊ぶ・食べる・寝る」ための十分な広さが確保できるのかも検証した。
この日の検証では、杉並区の阿佐谷保育園を使用。保育園の四十五平方メートルの一室を使い、ゼロ歳児の一人当たりの面積が五平方メートル、国の最低基準の三・三平方メートル、規制緩和案の二・五平方メートルの三つの場合で比較。最も面積が狭い場合、保育士は泣いている子どもにかかりっきりで他の子どもに目が行き届かなかったり、食事や昼寝用の布団を敷くために泣いている子どもが放っておかれたりするケースがより多かった。
阿佐谷保育園の新妻寛美園長は「この状況では、保育士はどう事故を防ぐかばかり考えてしまう」と漏らす。
都の独自基準で運営する認証保育所では、すでにゼロ歳と一歳児の面積は一人当たり二・五平方メートル以上に緩和され、ゼロ~二歳児を一緒に保育する混合保育も行われている。…
この記事にもあるが専門家も警鐘を鳴らす。ジャーナリストの猪熊弘子さんは「スペースもなく、保育士も余裕のない状態では事故につながりかねない」村山祐一・元帝京大教授は「日本の最低基準は、各年齢で最適な保育環境や集団規模の議論はされておらず、保育士さえ配置すればいいという考え。子どもの命にもかかわる問題だ」と。それをさらに、緩和して、待機児解消というのなら、やはり筋が違う。ママパパたちの怒りももっともだ。
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