3・11福島から東京へ――広域避難者たちと歩む
とすねっと(東京災害支援ネット)の本が出た。ほんとに手作りっぽい支援運動だよね。だけど、だからこそ、どこまでも避難者に寄りそう努力が展開されてきた。震災直後の東京都の対応の悪さは、かなり話題になった。あらためてその対応に読んでいて怒りがこみあげる。だけど、そこから1つひとつ解決してきたのだ。
経験のない災害避難者への支援だから、わからないことも多く、新しい問題が次々おこる。生活で必要なもの、子どもの勉強や習い事、放課後の問題、家具の問題。被災者の生活の権利が位置づけられることがないから、被災者のほうは言いだせないことも多いと痛感させられる。この本を読んでなるほどと思ったのは、住民票がない人の問題。いろんな経緯や事情からそういう人は一定数いる。その人たちへの補償や支援について、硬直的な態度がとられらりすることもあった、その解決がすすめられた。だけど、いまだそれはすべて解決したわけではない。そもそも、被災者の支援や補償での一方的な線引きはいまだ続いている。それは生活の困難ももたらすし、それにとどまらない苦痛や困難を生じさせる。
この本には、実は放射能の問題と言うのは、ほとんどとりあげられていない。そして、事実として、問題は、未来への展望などもみとおすようなところまで言っていない。目の前に現実の最低限の生活保障がまだまだ十分ではない事態なのだ。そのことを痛感させられるし、同時に、そのことに驚かされるのだ。
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