論争 憲法改正は是か非か
『中央公論』の4月号をパラパラと。ナイの「尖閣―日中危機とアメリカの苦境」を興味深く読んで、アメリカのJapanハンドの認識と日本の政権の認識とのずれなどについて考える。そして、その次に出てくるのこの対談。元毎日の岩見さんと、元朝日の若宮さん。岩見さんはここのところ、完全に改憲を主張するようになっているわけだけど。若宮さんは、護憲を掲げるが、国民の認識は自衛隊と9条はセットとして、平和安全保障法の制定を主張する。いろんな人のいろいろな議論を思い出しながら、あらためて、いろいろ考え込んでしまう。
いくつかの考えることがある。何よりも、こうした議論をするときに、いまの自衛隊のあり方だとか、実態とか、いまの日本の軍事法制上の問題というものにふみこんだ議論になっていないという問題。アメリカとの関係での日本の自衛隊が内包する問題については、議論の途中でどこかにいく。日本はほんとうにどういう軍隊であるのか? いまこっそり?デアゴスティーニ・ジャパンの「自衛隊モデル・コレクション」を購入中。今日、F15Jが届いたところ(笑い)。そのフィギアを手に、にんまり(苦笑)。
憲法論的には、9条が1項の戦争の放棄と2項の武力の不保持が一体となっているということもあいまいにされる。何が、日本の軍事大国化の歯止めになってきたのかという問題も不問にされてしまうと、歯止めがどうかかるのか。2項についての議論は現実との乖離という点でとても難しいし、ナイーブだけど、その議論を切り捨てて歯止めがかかるのだろうか?
ちゃんとした検証を抜きに、若宮さんの言うように自衛隊を制御する法律さえつくれば解決するというのは、どうも無責任な議論としか思えないけれども。歴史的な検証もしてみたい気がするけどね。
いずれにしても、読売系の雑誌の手によるこうした対談とうのも何をねらっているのかは、読みとれるというものではあるけれども。同時に、憲法状況はきわめてややこしい状況にあるという自覚は必要なようだ。
もちろん、さまざまな議論を認めないながら、9条の改憲を阻止するための共同をつくらないとたいへんな地点にあるのは否定のできない事実。それだけに、しっかりした説得力ある議論が、歴史や現状の分析をともなって、しなくっちゃいけないもの事実で、もう一度、基本的なことがらなどについて、勉強をしなくっちゃいけないなあなどとも痛感させられるような状況にあることはたしかだと思うのだけれども。
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