「就職活動に関わる意識調査」報告会
ライフリンクがおこなった表題の調査の報告会に行ってきた。もともとライフリンクは、自殺対策支援のNPO。中高年の自殺にいたる経緯はいってい明らかになっているが、近年増加している若者の自殺について、知る手がかりをということではじめた調査だそうだ。調査結果は、月曜日にはライフリンクのHPにアップされるそうなので、そちらのほうでぜひ。
NHKが報じている。
就職活動の悩み 相談ためらう傾向(NHKニュース)就職活動に失敗した大学生が、うつ病を患うなどしてみずから命を絶つケースがここ数年増えています。
この『就活自殺』を考える集会が30日都内で開かれ、自殺対策に取り組むNPOが、就職活動で悩みを抱えている学生の半数以上が、誰かに相談することをためらっている現状などを報告しました。
就職活動中の大学生がうつ病を患うなどして自殺するケースが、警察庁が把握しているだけでも去年1年に45件と、統計を取り始めた6年前に比べ3倍以上に増えています。
こうしたなか、自殺対策に取り組むNPOがその背景を探ろうと、今月、就職活動中の大学生120人余りを対象にアンケート調査を行い、その報告集会が30日都内で開かれました。
この中では、就職活動で悩みやストレスを抱えた学生の52%が、誰かに相談したり助けを求めることにためらうと回答したことが報告され、孤立しがちな就活生の姿が浮かび上がりました。
また27%が「憂うつな気分」が2週間以上続いていると回答したほか、9%は「睡眠障害」を訴えていて、精神的に追い詰められている学生が少なくない実態が明らかになりました。
就職活動に不安を感じる学生の半数以上は、「正社員になれるかどうか分からない」ことを理由に挙げていて、不安定な非正規雇用への危機感を強めていることも分かりました。
報告集会を開いたNPOの清水康之代表は、「自分だけ取り残されてしまうのではないかといった恐怖心やプレッシャーなどが一度に押し寄せている実態が見えてきた。根の深い問題だと思うので、先手先手の対策を講じていくべきだ」と話していました。
重ならない範囲で、印象に残ったこと。
前提問題として、学生の手による学生の調査ということ。分析も学生が中心にやっている。これは結構、大事なのかなとも思う。
もちろん、いまの就活のしんどさ。近年、ひどくなっているかどうかは正確にはよくわからないのだけれども、数年前に大騒ぎになって、可視化されたことによって、明らかに、深刻化している。企業の手口もちょっとひどくなっている感じはする。
そのなかで、若者たちにとって、とても大きな問題として、友人関係というのがある。相談相手が友人であると同時に、この友人から大きなプレッシャーを受けている。いまの友人関係を考えるうえでちょっと大きな問題か。
就活との因果関係は分析しきれないが、就活のなかにいる若者の社会への不信の大きさは注目される。社会は支えてくれないという感覚が広がっている。そのなかで、自分の責任としてとらえ、何とか安定をもとめる傾向は顕著だ。
しかし同時に、学生生活への満足感は高く、社会や他人から必要とされるようにありたいと願っている。これは興味深い感じがする。
もちろん、母数も少ないし、厳密な抽出調査でもないし、いろいろな属性にわけた分析ができるわけでもない。意識調査に限られているから、実際の具体的な背景、とりわけ経済的な背景とのからみの分析がなされているわけではない。だから、慎重さが必要なのだと思うのだけど。
ともすれば、どうしても社会の現状からみて、もっといまの時代のふさわしい学校の対応が必要ということが導き出されてしまう。それは半分はそうだけど、同時に、加速化しているのは、企業が学生をいわば”モノ”扱いする傾向というか…。そういう雇用の現状への分析はもっと多角的に必要かな。そういう意味では、いろいろな分野の英知を集めての本格的な調査がほんとうはもっと必要なのだろうなとも思う。
少なくとも、社会的に必ずしも、この変化としんどさは共有されているわけではない。『何者』だって、いうほど社会的に注目を浴びきっているとは思えない。だから、もっと広く議論されるべき問題だと痛切に思うのだけれども。
最後に韓国からの留学生が、社会に対する上記の意識のギャップをしてきして、いまこそ社会のあり方を議論することが必要と言っていた。同感。
いろいろ考えさせられた次第。
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