ナチスと親密過去 ウィーン・フィル初検証
政治の分野での「過去の克服」を支える粘り強く国民的な営みと言えばいいのでしょうか。
ナチスと親密過去 ウィーン・フィル初検証(東京新聞)オーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は10日、楽団とナチス・ドイツとの関わりを検証した初の報告書を発表した。ユダヤ人を組織的に解雇し、楽団の半数をナチ党員らが占めていたことなど、ナチスとの親密な関係が明らかになった。
報告書によると、一九三八年三月にオーストリアがナチス・ドイツに併合された後、ユダヤ人の楽団員十三人が追放された。うち五人は強制収容所などで死亡した。四二年には楽団員百二十三人のうち六十人がナチ党員か入党希望者で、同国での党員の割合10%を大きく上回っていた。
戦後のナチス追放も不徹底だった。ナチス親衛隊員で楽団の事務局長だった人物は、戦後いったん追放されたが、四七年には事務局長に復帰。戦争犯罪を裁いたニュルンベルク裁判で有罪となったナチスの元指導者に、楽団の「名誉の指輪」を贈った事実もあった。
楽団は「過去の検証に消極的」との批判を受け、二〇一一年四月、外部の大学教授に検証を依頼。併合から七十五年となる今月、報告書を楽団の公式ウェブサイトで公開した。今夏までに順次内容を追加する。
文化分野における戦争責任の問題は、日本ではいろいろな議論がなされてきた。と、同時に、ドイツと同じように、十分に向き合いきれなかった戦後史があることも事実。もちろん、美術における横山大観だとか藤田嗣治のような超大家の問題だけではない。その文化がどのようなもとにあり、どのように歪み、どのような役割をはたしたのか。そして、どのような被害があったのか。一つ一つの検証はいまなお必要なことであるのだろうなって思う。
そういえばヨーロッパ(イギリス)の音楽史の研究者の手による『モーツァルトとナチス: 第三帝国による芸術の歪曲』という本が、最近邦訳され、結構話題になっている。ナチスは、芸術を、民意を誘導するための有力な手段としたことはよく知られているが、音楽においては、ワーグナーの音楽を利用したというのはあまりにも有名。実はモーツァルトをも利用していたが、そのさいに、本書はナチスがモーツァルトを、「力に満ちた若きドイツ人の象徴」、「ボルシェヴィキから守るべきドイツ文化の絆」と謳い上げたそうだが、モーツァルトがオーストリア出身で、フリーメイソンの会員、重要なオペラでユダヤ人台本家と協働していることなどの問題があった。それをあの手この手で糊塗し、プロパガンダに用いるべく、資金も労力もつぎ込んだという話。まあ、呆れるような話ではあるのだけれども、そういうことによって、戦前のドイツ社会は支えられていたということ。これは結構、日本でも通じることもあろう。ぜひ読みたいなあとは思っているがなかなか手が出せないでいるところなのだけど。
今日、国会では、安倍さんが東京裁判は勝者の裁判と言ったそうだ。
安倍首相:「東京裁判は勝者の断罪」…米から批判の可能性(毎日新聞)
もちろん、そういう面があることはそうだけど、そうであっても、この裁判が明らかにした問題やこの裁判をとおしてつくられた原則のもつ意義は大きいのも事実。安倍さんがこういうことを言うと、これまでの言説からは、そのすべてを流しかねない危険性を感じるし、国際社会はそういう受け止めをしてしまうことを、もっと自覚されたほうがいいと思う。
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