「国防軍」ー私の懸念 安倍新政権の論点 1
著者は、柳沢協二さん、小池清彦さん、伊勢崎賢治さん。前の二人は元高級防衛官僚、最後の一人は武装解除の専門家。いわば軍隊を知り尽くした専門家でもある。
柳沢さんは、アメリカの思惑と日本の軍事対応とのあいだにある矛盾をうきぼりにする。小池さんは、軍隊自体のもつ本性から、いま文民統制や集団的自衛権の禁止で抑制されていたものがときはなされる危険性を指摘する。そして伊勢崎さんは、軍事防衛的対応への世論動員の背景やその危うさについての分析がなされ、冷静な議論のあり方をさぐる。
三人の筆者はそれぞれ自衛隊を認めながら、同時に憲法九条の改悪に反対する。それは知人であるこの本の編集者の主張でもあろう。だけど、その立論の仕方は、編集者のそれとは必ずしも同じではない(当たり前なのだけれども)。そのあたりも個人的にはおもしろい。今度議論してみたい。
たしかに理想ばかり言っていてもしかたがない。だけど、理論や理念がもつ力はある。同時に、現実の難しさもある。現実は複雑で難しい。そのときにたぶん大事なのは、国民の意識なども含め、その社会のありよう、政治のありようを動的にみていくこと、その方向性を考える中で、自分の発言やスタンスを考えることなのかななどと最近思ったりする。そういうことを考える上でも、実はこういう議論は大事であったりするのだけど。
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