「国防軍」ー私の懸念 安倍新政権の論点 1
著者は、柳沢協二さん、小池清彦さん、伊勢崎賢治さん。前の二人は元高級防衛官僚、最後の一人は武装解除の専門家。いわば軍隊を知り尽くした専門家でもある。
柳沢さんは、アメリカの思惑と日本の軍事対応とのあいだにある矛盾をうきぼりにする。小池さんは、軍隊自体のもつ本性から、いま文民統制や集団的自衛権の禁止で抑制されていたものがときはなされる危険性を指摘する。そして伊勢崎さんは、軍事防衛的対応への世論動員の背景やその危うさについての分析がなされ、冷静な議論のあり方をさぐる。
三人の筆者はそれぞれ自衛隊を認めながら、同時に憲法九条の改悪に反対する。それは知人であるこの本の編集者の主張でもあろう。だけど、その立論の仕方は、編集者のそれとは必ずしも同じではない(当たり前なのだけれども)。そのあたりも個人的にはおもしろい。今度議論してみたい。
たしかに理想ばかり言っていてもしかたがない。だけど、理論や理念がもつ力はある。同時に、現実の難しさもある。現実は複雑で難しい。そのときにたぶん大事なのは、国民の意識なども含め、その社会のありよう、政治のありようを動的にみていくこと、その方向性を考える中で、自分の発言やスタンスを考えることなのかななどと最近思ったりする。そういうことを考える上でも、実はこういう議論は大事であったりするのだけど。
« 発信箱:「ストロング・ジャパン」=福本容子(論説室) | トップページ | 3.11 あの日から2年 福島のいまを 知っていますか »
「平和」カテゴリの記事
- 「外国人優遇」はデマ 参院選で広がる排外主義に複数団体が反対声明(2025.07.08)
- 前衛8月号ができています。(2025.07.07)
- 歴史学者が憂える政治家の認識 歴史修正主義に甘い日本(2025.07.02)
- 「被害証言に高度の信用性」米兵による性的暴行の事実認定 那覇地裁が懲役7年判決「生命の危機が生じかねない」(2025.06.25)
- 沖縄戦を指揮した牛島司令官の辞世の句、日本軍中央が改ざん 沖縄での劣勢報告も 本土決戦へ戦意高揚狙う(2025.06.22)
「読書」カテゴリの記事
- 前衛8月号ができています。(2025.07.07)
- みんなでつくろう子どものための学びを(2025.06.30)
- 社会の底が抜けたような状況に、論壇誌は(2025.06.10)
- 劣化する米国、吉見俊哉さんの見方 非対称な関係、見直す時 トランプ氏再選、背景に帝国主義(2025.06.02)
- 6月号ができています(2025.05.11)
「政治」カテゴリの記事
- 「新給特法でせんせいの未来はひらけるか」(2025.07.12)
- 博士課程への生活費支援「日本人に限定・留学生は除外」が国益を損なう理由。そもそも“給与が出る”世界のスタンダードから日本は劣後(2025.07.10)
- 子を寝かせた後、再び学校で残業 教員「定時で帰るのありえない」(2025.07.09)
- 「外国人優遇」はデマ 参院選で広がる排外主義に複数団体が反対声明(2025.07.08)
- 前衛8月号ができています。(2025.07.07)
« 発信箱:「ストロング・ジャパン」=福本容子(論説室) | トップページ | 3.11 あの日から2年 福島のいまを 知っていますか »
コメント