「問題」としての青少年
やっと読み終えた。というか、無茶苦茶難しいけれども、やっぱり刺激的な問題の書。ああ、ちゃんと、これはうけとめて議論しなくっちゃいけない。できればメモをとって、深めたいけどなあ。そんな時間はないなあ。この本、そのものは、かつての逸脱としての青年問題から時おこしながら、青少年問題を議論する。いわば、若者に対する否定的な見方にたいする批判の書である。しかし、問題は、これは、近年の若者をとりまく文化と社会の大きな変容、孤立化の時代のもとで、どのように変容したかということを軸に展開される。そこで生まれる若者の自己認識は、どこまでも自己責任に親和的だ。なぜ若者が自己責任に追いやられるのか、その構造がリアルに再現されている。それが現実のその若者親世代のボクにとってもあまりにもつらい。だけど、批判されるいまの若者たちの社会化をめぐる葛藤からはじめるしかない。それが著者の問題意識だ。それはあくまでもリアリズム。そこにある閉塞や課題も視野に入れる。
そうなんだけど、時代は構造改革の時代で、どこまでも自己責任にからめとる。ほんとうにそれは根深い。それそもののが時代の構造なんだ。だからこそ、それにからめとられないような姿勢で、若者の社会化の歩みに依拠しながら、新しい社会のありようを問いかけていくしかない。
きっと若い人が書けば、もっと楽観的に若者への信頼を表明するのだと思うけど。そのリアルな出発点を、自覚しながら、若者の社会化への困難とつきあいながら、ともに歩む道筋を、どう考えればいいのか、ボクももっと考えたいと思うし、ボクらが同時代を生きる人間として考えたことをもっと、深めていきたいと思うのだけど。難しいなあ、問題が。
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