王になった男 その2
王になった男について調べて見ると、いろいろ面白いことが出てくる。朝鮮王朝には朝鮮王朝実録という記録がある。この記録は王は在位のうちには読むことはできないそうだ。ただ、廃位されている光海君と燕山君の時代のそれは正式な実録とはされていないとか。この実録は世界遺産にも指定されている。光海君の御世の記録は光海君日記として残されているのだけれども、ここに、「可諱之事, 勿出朝報。(숨겨야 될 일들은 조보에 내지 말라.)隠さねばならないことは朝報に出すな(載せるな)」という一文があり、日記に王の行状が残っていない空白の15日間があるというのだ。映画では、その15日の記録をホギュンの指示で承政院から盗み出して、本物の王に読ませる設定になっている。そこから生まれたのがこの物語だとも。ただ、光海君は反乱によって廃位されているので、その際に、日記は散乱した、欠落部分はもっと多いようなのだが。
この実録は4部つくられ、その1部が日本の植民地時代に東京に移設されている。関東大震災により大半が焼失し、のこったほんの1部のちの大半は、韓国民間団体の働きかけにより韓国に戻される2006年まで東京大学の図書館が持ち続けていたのだ。また、最後の二巻『高宗実録』と『純宗実録』は日本統治時代に編集され、日本人の見解に沿った記述が多過ぎるとして実録に含めない見解が主流。この二巻は大韓民国指定国宝や世界記録遺産からも外されているそうだ。これもまた考えさせられる歴史であるなあ。
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