桑田の正論 橋下の暴論
大阪の高校における体罰による自殺が大きな問題になっている。まだまだ解明されていない問題が多いが、さまざまな議論がメディアをにぎわしている。今日のメディアの記事のなかでひときわ話題になったのが元巨人の桑田さんのコメントだ。彼が論文を書き、朝日で長いインタビューをやったとき、このブログでも紹介したけれども、勇気ある彼の正論はここでも注目にあたいする。
その桑田インタビュー。
桑田真澄さん 体罰は安易な指導(NHKWEB特集)大阪の市立高校でバスケットボール部の顧問の教師から体罰を受けていた男子生徒が自殺した問題について、元プロ野球選手の桑田真澄さんがインタビューに応じました。
桑田さんは、高校野球で2度の全国優勝を果たし、プロ野球の巨人などで活躍したあと、大学院でスポーツの精神主義の問題点などについて学びました。現在は、かつて自分も体罰を受けた経験を踏まえて、体罰による指導への反対を訴えながら全国で講演活動や子どもたちの指導に当たっています。
インタビューの中で、桑田さんは「体罰は安易な指導方法で決して強くならない」としたうえで、「今の時代にあった指導方法に変えていくべきだ」と訴えました。…
ヨーロッパのスポーツの世界では、10代まではできるだけ競争にならないような環境が配慮される。全国大会的なものなどはあまりおこなわれない。勝利至上主義を排して、子どもの競技者としての成長が優先される。そのためのコーチ方法の探求がすすめられ、コーチをするための資格などもつくられる。文化としてのスポーツが豊かなのだ。人間がつくる文化としてのスポーツのありようを桑田さんは探求しようとしている。
だけど、日本ではこれが追及され切れていない。もちろん少しずつ変化はあるのだけれど、まだ途上にある。その問題点が吹き出たわけである。
だけど橋下さんの見解はちがう。
橋下市長「体罰あり得る」 「禁止はうわべのスローガン」 大阪自殺問題で(しんぶん赤旗)大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒が教員から体罰を受け、自殺した問題で、橋下徹市長は10日、「正直僕は、クラブ活動の中でビンタをすることは、ありうると思っている」と体罰を容認し、「きちっとルール化できていなかったのが問題だ」などと主張しました。
橋下氏は教員による体罰について、「全国大会を目指す桜宮高校の体育科では、保護者も含め、ある程度のところは教育的な指導だという暗黙の共通認識があったのではないか」と発言。「にもかかわらず教育委員会が体罰禁止とか、手を上げることは絶対にありえないという、うわべっ面のスローガンだけで事にあたっていたことが(事件の)最大の原因」と強弁しました。
その上で、実態解明と体罰をどこまで容認するかというルールづくりを主張し、「これは議論が出ると思う。“手を上げることを前提とするルールをつくるのか”ということになるでしょうけど、それはそれでまたそのときに批判を受けながら議論していけばいい」などと語りました。
こうした彼の姿勢が、体罰の土壌になっているというのはなぜわからないのだろうか?
だけど、同時に、日本の体罰はスポーツに限らない根深さがある。子どもを威圧する暴力の文化が残念ながら存在する。そのことはまた。
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