東京新聞のコラムから
今日の東京新聞のコラム「筆洗」で、福島県いわき市の中学二年生樋口侑希(ゆうき)さんのことが載っていた。ネット上で少し話題になっていた。「原発事故から数日後、家族会議を開いた。避難しようという母と、仕事でいわきを離れられない父がぶつかった。居間に時計の音だけが響き、沈黙の時間が流れた」そうだ。そして、「<私の体は、その時すごく熱くなって心臓がドクドクしていました。父はそっと立ち上がるとリビングを出て寝室に向かいました。その日は、誰も一言も話さずにそのまま寝ました>」という。「翌朝、侑希さんが起きると、お父さんはホットケーキを焼いていたそうだ。それも数え切れないほどの量を。夜通し作ったのか、目の周りにクマができていたが、晴れ晴れとした顔で言った。「これを持ってお前らは逃げろ」▼<栃木県に避難する途中で一枚だけ父の作ったホットケーキを食べました。焦げていて少し苦かったです。でもその時、久しぶりに家族で笑顔になることができました>」
何度読んでも、涙が出てくる。いまだどれだけの人が、避難を余儀なくされ、これからの生活に見通しがもてないでいることをどれだけ、新しい政権は認識しているのだろうか?
「取り戻したいのは、原子力ムラの住民の笑顔なのか。」とコラムはむすぶ。選挙前の朝日の声の欄に作家の赤川次郎さんが、「再び原発が爆発したら、子や孫までも放射能の恐怖にさらされるのだ。有力な政党のスローガンは「日本を、取り戻す」だそうだが、ならば福島の人々に元通りの故郷を取り戻させるのが先決だろう。」と書いていた。
ボクらはそれを忘れてはいけない。もう一度、年の瀬に、そのことを心に刻んでおきたいと強く思った。
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