生活保護とあたし―生活保護のありのままの世界
実は、ボクもふくめて、多くの人は、実際に生活保護を利用している人たちが、どんな生活をし、どんな思いでいるのかは、知らないでる。ドイツやイギリスでは人口の10%近い人がこの制度を利用しているが。日本ではわずか一・六%にすぎない。偏見が強く、当事者は声をあげられないでいる。そんななかで、かつて利用していた人によるありのままの生活保護の実像が語られる。
「あたしたちは怠けものではありませんまずは、あたしたちの日常をのぞいてみてください」。DV夫から逃れて、そしてウツ病のために仕事もできず、生活保護になった筆者がありのままにつづる。どうして生活保護を利用するようになったのか。貧困に陥ったとき、何に困るのか。いまの制度ではどんなことに困っているのか。そして、この生活保護によって、どのように支えられているのか。その語りを聞けば、この間繰り広げられている、生活保護バッシングなるものが、いかに事実にもとづかない偏見に満ちたものかよくわかる。
よく考えれば、いろいろな施策を議論するとき、当事者の声を聞くことの重要性がいわれるが、しかし、今すすめられている生活保護改革において、当事者の声は聞かれていない。ほんとうに多くの人に読んでもらいたい一冊。
片山さつき参議院議員の『正直者にやる気をなくさせる!?福祉依存のインモラル』 (オークラNEXT新書)があまりにもひどい本だったのだが、この本と読み比べると、片山さんの主張の薄っぺらさがみごとなぐらいわかる反論の書にもなっている。そして、そこから見えるのは、豊かな人間観、社会観でもあるんだよなあ。
この選挙でもこの問題はとても大事な問題だと思う。だからこそ、いま読んでほしい。
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