発達保障ってなに?
大学時代、ボクの学部には田中先生が、助教授でいた。ぜんぜん、授業にはでない学生だったので、まじめに勉強しなかったのはくやまれるが、それでも、もっとも影響をうけた先生であることはそうだと思う。その田中先生には一度だけ、仕事をさせていただいたことがある。怖いもの知らずの編集者だったボクは何度か書き直ししていただいた。そのかわりゲラは真っ赤っかだった。その後、それが本になったのが『障害のある人びとと創る人間教育』。その田中先生も、お世話になった杉恵先生ももういない。
さて、ひさしぶりに発達保障の理論について学んだ。もちろん、発達の個々の問題については、さまざまな理論的な発展がある。あることはすでに、理論的に違った様相になっている。だけど、その根底にあるものは何か。改めて新鮮に学ぶことができる丸山さんの理論編。近江学園やびわこ学園の実践、与謝の海のこと、そして全入のとりくみ。河合さんの歴史編は、ちょうどその多くがボクの若いころに出会ったことでもあるので。そして、その発達保障の考えを、実際の教室の子どもをとおして示してくれるのが品川さんの実践だ。発達とは、障害とは、その理解が、たんにそのことについてだけでなく、社会観や人間観そのものを豊かにしてくれる。そのこともあらためて痛感する。
いまの時代、子どもや若者にかせられた困難や壁は、より複雑で、重層的だ。それだけに、そういう困難に向き合うことがより大事になっている。個々の問題は、政治の世界では少ししか語られることはないだろうけど、しっかりと向き合うことが、これからつくろうとする社会のビジョンをささえる社会観、人間観を豊かにしてくれる。そういうことを包み込んだ、社会像を考えたい、そんなことを先日読んだ『〈いのち〉の危機と対峙する』の「絶望から紡ぐ希望ーダルク女性ハウスに集う女性たち」を読みながら考えた。
ところで、今日久しぶりの、かつての職場の人と昼食を食べた。話の中心というか、すべては子どものこと。同世代だから、子どもも同世代。うちのぷー太郎(笑い)のこと。その人の息子は技術を身につけて就職したが、その会社が少しブラックなようだ。やめたいという思いと、やめられない現実…。それを責める、きょうだいも必死で働いている。
若者たちの深刻な現実の困難。いろいろな発達的な課題をかかえ、生きづらさを感じながら生きている息子たち。親も、生きづらさをひきずって、悩み続ける時代だなあ。
人が人として生きる権利って何だろう。もう一度、基礎から、考え、目の前にある現実に、しっかり向き合うようになりたい、そう考えさせられるのだけど。
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