シリーズ 戦争の経験を問う 兵士たちの戦後史
本が出て、もう1年以上になるけど、読まずにおいていた。やっと読んだけど、読み始めると、一気に読んだ。
膨大な、戦記や軍隊誌、戦友会誌から、兵士たちが戦後をどう生き、戦争についてどんな思いを抱き、また語ってきたかを読み解く。兵士の経験をありのままに、歴史のなかに位置づけようという吉田さんらしい一冊。すごい、調査量に驚く。
そして、そこからは、もちろんこれまでいろいろ吉田先生が論じられていたこともたくさんあるが、まったくしらない実像もうかびあがってくる。困難な戦争経験。加害の記憶。たとえばPTSDは? 精神的な影響はなどいろいろ考えさせられる。その戦後史もさまざまな困難を抱えながら生き抜いていく。その実像は多様だ。戦友会といえば、とかく反動的な印象がある。たしかに、軍恩連などは、自民党政治の支柱になってきた。しかし、一方で、戦後の兵士たちの葛藤の足跡はここまで、克明に記されていたとは。
もちろん、そこには不十分さ、きっちりと向き合いきれなかったという面と、だけど、一般に思われているような、反動化には汲みしない動きとが刻まれている。その不十分さがいまの日本をつくっている。だけど同時に、その多様さや葛藤がもたらしたものも多い。
ではいま、なぜナショナリズムが駆り立てられているのか。歴史は決してそういうことをもとめているわけではない。我々が、歴史から学ぶべきことの深さや広さというものを考えさせられるのでもある。
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