わがまちに医師を ~地域医療と霞が関の半世紀~
こちらは、ETV特集。
東日本大震災によって、戦後長年にわたって東北の地域医療を支えてきた病院が甚大な被害を被った。しかし実はそのほとんどが、震災前から、医師不足と赤字経営に苦しむ医療過疎地域だった。
岩手県陸前高田市の県立高田病院では、建物が津波に飲み込まれ、診療中止に追い込まれた。今は、全国から駆けつけた応援の医師たちの助けを借りながら、何とか仮設診療所での診察を続けている。この応援が打ち切られたとき、いったい誰が陸前高田の医療を守るのか。明確な青写真はまだ描けずにいる。
福島県では、福島第一原発の事故後、放射能による健康被害を懸念し、医師の離職が相次いでいる。原発事故が、もともと深刻だった医師不足にさらなる拍車をかけているのだ。今回の震災が、長年未解決のまま放置されてきた問題を、あらためて浮き彫りにしている。
なぜ、地域医療は疲弊してしまったのか――。我々は、日本の医療行政の中枢を担った厚生省キャリア官僚OBと日本医師会の元幹部らに、長時間のインタビューを行った。
その貴重な証言から見えてきたのは、医療費の財源や保険料負担の調整に追われる一方、どんな医師を育て、全国に医師をどう配置すべきかという中身の議論がおきざりにされてきた実態だった。
番組では、町にもう一度病院を取り戻そうと模索を続ける岩手県立高田病院の半世紀の歩みに、霞が関の官僚OBや日本医師会の元幹部らの証言を交差させてゆく。その歴史をたどりながら、超高齢社会に突入した日本で、これからも持続可能な医療の姿を考えてゆく。
震災であぶり出されたのは、それまでのこの国のありようの問題点だった、そのことをよくしめしている番組だと思う。たとえば医療過疎はなぜ起きなのか?地方の切り捨てと、国民の安心を基礎におかない医療政策などなど。そして、さまざまな問題があらわになったとしても、その現場に足をすえた人たちの英知を集めないシステム。
高田病院から学ぶ。だが、それでけで、未来みえていくのだろうか。
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