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2012/10/31

線量計 隠し現場へ 実態暴けぬ厚労省調査

 今日の朝刊を読みながら、いろいろ考え込んだ。

線量計 隠し現場へ 実態暴けぬ厚労省調査(東京新聞)

 東京電力福島第一原発で起きた、線量計を鉛カバーで覆って被ばく線量をごまかした問題を受け、厚生労働省が実施してきた聞き取り調査の結果が三十日、公表された。意図的なごまかしはなかったとの内容。だが、本紙の取材に対し、元作業員の男性は、原発で働き続けるため線量計を持たずに現場に行っていたことを新たに証言した。既に、鉛カバーを作って線量をごまかそうとした別の作業員の実例も報じたが、二人とも聞き取りはされていない。
 新たに線量ごまかしの実態を語ったのは、福島県いわき市の二十代男性。事故発生間もない昨年四月から福島第一の緊急作業に加わった。現在は被ばく線量の問題などで解雇され、現場を離れた。
 当初に担当した収束作業は、3号機タービン建屋内で、放射線量が不明の汚染水を手作業で捨てたり、大型の工作機を分解したり、海側で配管を修繕したりする内容。どの現場も線量は高く、たった一日で一般の人が許される数年分の放射線を浴びる日が相次いだ。
 これでは「五年間で一〇〇ミリシーベルト」(年平均で二〇ミリシーベルト)という作業員の被ばく線量限度をあっという間に使い果たし、働けなくなってしまう。男性は、線量の低い場所での作業に変えてくれと所属会社に頼んだが、聞き入れられなかった。
 そこで、男性は原発敷地内にある所属会社倉庫の缶の中に線量計を隠したままで作業にいくことを思いついた。同じことをした同僚もいた。男性は自分用に被ばく線量を記録しており、線量計を隠した日は「-」印を付けていた。
 男性の記録を見ると、昨年四月からの五カ月間で、線量計を隠したまま作業したのは約二十回に上った。被ばく線量が高そうな作業で線量をごまかすと発覚するため、低そうな作業を狙った。
 それでも、男性の被ばく線量は五カ月で四〇ミリシーベルトを超えた。「線量の高い作業ばかりやらせておいて、線量が増えたといきなり解雇された。解雇か線量隠しかを迫られているようなもので、被ばく隠しをするしかなかった」と語った。
 一方、同様の動機で鉛カバーを自作していたベテラン作業員は「仕事を失わないため、必死だった。分からないよう慎重にやっていた。厚労省のような聞き取り調査では、実態はなかなか分からない」と話した。

 これが厚生労働省の調査結果なるもの。
 そもそも、こういう被曝労働の構造にはメスが入らない。現場で働くのは下請けのさらに何重もの下請けだ。結局は、多くは、ピンはねされる非正規労働者でもある。そもそも、そういう働かせ方の構造や、そうでもして働かなければならない構造そのものを変えないと事態はかわらないのだと思う。と、同時に、そういう下請けの実態は二重三重に深刻だ。『イチエフ』の著者の布施さんが、言っていたけど、現場の管理者、線量計をはずしていくという。管理者は人手不足だと。
 野田さんは”収束”とうそぶいたが、実際の収束への必死の過程は、こういう現実によって支えられている。被曝労働を組み込んだ原発をなくすことはもちろん。いまある被曝労働に対して、どうメスをいれていうのかということも問われている。

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