除染 そして、イグネは切り倒された
先日のNHKスペシャル。
福島県南相馬市。阿武隈おろしの強風から家を守るために「いぐね」と呼ばれる屋敷森を持つ家が多い。最近、そのいぐねを伐採する家が相次いでいる。福島原発事故で飛散した放射性物質がいぐねの杉の木に付着して、なかなか周辺の放射線量が落ちないためだ。
政府は1月「放射性物質汚染対処特措法」を施行し、汚染地域の除染に乗り出した。しかし、その除染が大幅に遅れている。理由の一つは除染で大量の放射性廃棄物が発生すること。廃棄物を安全に保管するための仮置場は周辺住民の反対が根強く決まらない。もう一つは、除染には莫大な費用がかかること。住民の不安を解消するため徹底的な除染を行ないたい南相馬市など自治体に対して、環境省は費用のかかる除染方法を認めず、いぐねの伐採も必要ないとするなど対立している。
政府は年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下なら健康に大きな影響はないという。しかし、住民は信じない。除染が遅れれば、避難している家族は帰ってこない。一方、小さな子どもを抱えて地元に残った家では、いぐねを伐ったり屋根瓦を葺き替えたりの自衛手段をとり始めた・・・原発事故によって地域崩壊の瀬戸際に立たされる福島からの報告。
何とも言えない内容。除染をめぐる不安と課題。
ほんとうに年間20ミリシーベルトでいいのか、それでつきない不安が解消できるのかが、まず第一点。だけど、それ以前に、どこまで、汚染を把握しているのかという問題が第二点。そういうとりくみだから、除染のとりくみも、課題が多い。硬直化したマニュアルは実態にあわない。だから、どんどん非効率になる。すると不安が広がる。それが第三点。
その不安やストレスに、どこまで正面から向き合っているか、この問題を軽視していないのかが第四点。もっと、実態から出発しなければ、現場からはじめなければ。そういう意味でも、政治のあり方の根本が問われているのだと思う。
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