日本軍「慰安婦」問題に関する日韓交渉/仲裁を前進させる国際シンポ
今日は表題のシンポに行ってきた。5時間という長いシンポだったけど、とても刺激的だった。ウスティニア・ドルゴポル・オーストラリア・フリンダース大学国際法准教授、阿部浩己・神奈川大学教授、金昌禄・韓国・慶北大学法学専門大学院教授、そしてコーディネーターが戸塚悦朗さん。
日本軍「慰安婦」問題といえば、日本の政治家の「妄言」が問題になる。だけど、ほんとうに求められているのは、日本政府がどう法的責任をとり、謝罪するのかというところにある。そして、この問題についての法的問題がいまどこにあるのか。
昨年の憲法裁判所の決定については、いろいろ読んだり、企画にしたりしてきたけれども、この裁判の意味をあらためて確認させられる。日韓請求権協定の3条に基づく手続きをすすめるというのがその決定だ。つまり、協定の解釈かかわって、日韓のあいだに紛争があるというのがその認識であるということだ。
金教授の報告がとてもわかりやすかったけれども、韓国の立場は、韓国併合条約は違法に強制されたもので、無効である。そのもとでの被害、日本軍「慰安婦」の被害の補償問題は、日韓請求権協定では解決していないということだ。日本ではあまり注目をされていないけれども、韓国の大法廷では、今年5月にも、三菱重工と日本製鉄に強制連行で働かされた人に対する補償の問題で同様の判決が出ている。韓国ではすでに政府レベルで、そういう明確な意思が表明されている。
そして、その背景には、国際的な流れがある。国際法、国際人道法の世界では、植民地主義の精算というのが大きな流れになっている。そういう判断が少なくない。なぜ、国連の人権委員会のレベルで、「慰安婦」問題で、日本政府に謝罪と責任を求める勧告がなされるのか、EUやアメリカの議会で、なぜああいった決議がなされるのか。それもこういう流れがあるということなのだと痛感させられた。
と、同時に、日本での議論は、あまりにもこうした世界に議論に疎いということにもショックをうけた。自分自身、正直言って、そういう情報からあまりにも遅れていることに、恥ずかしさも感じた。資料をいっぱい買い込んだので、ちょっと勉強しなければと反省させられた次第。
法律問題は難しいけど、参加してとてもよかったと思った。
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