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2012/08/06

黒い雨 ~活(い)かされなかった被爆者調査~

 今日のNスペ。家に帰って録画を見た。ちょっと衝撃。

Thum_01_2 去年の暮れ、長崎の医師の問い合わせをきっかけに、被爆に関する「あるデータ」が突然公表された。原爆投下直後に降った放射性物質を含む雨「黒い雨」に、1万3千人もの人があったことを示す分布地図だ。どこでどれくらいの人が黒い雨にあったか、これまで「公式データ」はないとされてきただけに、広島・長崎は衝撃を受けた。データは、放射線の人体への影響を科学的に明らかにするためにアメリカの研究機関ABCCが集め、研究を引き継いだ放射線影響研究所(放影研)が保管していたものだった。多くの被爆者の協力のもと集められた“命の記録”。しかし今に至るまで、このデータを使って黒い雨の影響が研究されることはなかったという。なぜデータは、被爆から67年たつまで、その存在さえ明らかにされなかったのか。調査に協力した被爆者たちは、どんな思いを抱いてきたのか。被爆者追跡調査の歴史を丹念に追いながら、その実像に迫っていく。

 いまだ政府は、黒い雨の影響を認めてはいない。原爆症の集団訴訟のたたかいは、その長い長いたたかいによって「裁判所、政府、国会を動かし、少しずつ、被爆者原告の救済を広げ実現してきた。しかし、政府は、一貫して、情報の公開性を拒否し、被害を矮小化してきた。黒い雨の影響は、その典型。「黒い雨」について、野田首相は6日、広島市内で記者会見して、同市などが求めていた援護対象区域拡大について「科学的合理的根拠がなければ難しい」と述べ、拡大は困難との見解を表明したともいうのだから。

 データが隠され、その後の調査がなされてこなかったその背景にある、原発開発と平和利用路線。大量殺戮の兵器は安全であることが求められたわけで。そこでは、人の命や健康というものは、ないがしろにされていく。

 福島でも同じことがくり返される。ましてや残留放射線の影響でさえこうで、いまだ議論のある内部被曝については、捨て置かれていくのだろうか。重い問題を提示している。

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