ヒミズ
家に帰ると、相方がめずらしく、ボク系の映画を見ていた。「ヒミズ」。
15歳の少年・住田祐一は、実家の貸しボート屋に集まる、震災で家を失くした夜野さん、田村さんたちと平凡な日常を送っていた。住田のクラスメイトの茶沢景子は、大人びた雰囲気の住田が好きで猛アタックをかける。疎まれながらも彼との距離を縮めていく茶沢。ある日、借金を作り蒸発していた住田の父が帰って来た。金をせびりながら殴りつける父親の暴力に耐える住田。ほどなく母親も中年男と駆け落ちしてしまい、住田は天涯孤独となってしまう。
原作の漫画は、もうずいぶんと前に読んだよなあ。個別化され、個性的であることを強要される時代。価値ある人として、生きることを求められる若者たち。中西先生流に言ってみれば、ヒミズの主人公は、自分はまったく価値がない人間だと思い、自分が社会のなかで生きる価値を得るためには、自分より価値のない人間を発見し殺すことが必要だと考えさまよう。しかし、主人公は結局「自分より価値のない人間」を探し出せず、社会にもっとも有益な判断として「自分を殺す」ところまで行き着きつく。これが原作のストーリー。映画は全体として、少し甘くつくられているように見えて、そのラストは、結構、きつく、残酷といえばいいのか。
いやあ。
俳優陣は魅力的。
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