新自由主義からの脱出――グローバル化のなかの新自由主義VS.新福祉国家
著者は、これまでにも新自由主義を批判する著作を、何冊も出しているが、その新自由主義との最終決戦にむけた一冊と言える。この点で、本書は、まず「社会保障・税一体改革」について、「社会保障機能強化をエビ餌にして消費税増税の大鯛を釣り上げようという」ものであると批判する。
新自由主義の歴史をふり返りつつ、そこでつくられた「均衡」がやぶれた今、つきすすもうとしている「新自由主義が新自由主義を呼ぶ」という展開の先にある破綻をうきぼりにしている。
こうしたなかで生まれている橋下主義への期待も、大都市大阪の貧困都市化の進行にこそその背景があり、結局、その本質は「野蛮な新自由主義プラス独裁体質」であることを明らかにしている。
本書は、だからこそ、垂直的再分配の再構築を柱とする、憲法25条にもとづく新しい国家への転換の必要性を強調する。「前衛」八月号の、著者の最新の論文「消費増税強行に走った野田民主党政権の末路」とあわせて読むと、いっそう理解が深まる。
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コメント
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そもそも税と社会保障の一体改革ということで社会保障の充実と財政赤字の削減を図り、
新福祉国家となるためには、ただ消費税増税するだけで済む話ではありませんよね。
グローバル化の中での新自由主義か新福祉国家のどちらを選択するのかということは、
究極的には、今度の総選挙での一つの争点になることは間違い無いと感じられます。
では、具体的に見ると恐らく以下の様な違いが生まれてくるのでは無いでしょうか。
・新自由主義派:経済成長至上主義、原発推進、消費税増税、TPP推進、大企業優先
官僚主導による中央集権、対米従属、
天皇制を中心とする運命共同体的国家運営
民主党(松下政経塾中心)、自民党、公明党による大連立
・新福祉国家派:脱経済成長、脱原発、消費税増税慎重、TPP慎重、国民生活優先
政治主導による地方分権による連邦共和制による国家体制、
対米従属では無い日米中正三角形型を中心とした多極型外交展開、
大企業ならびに富裕層増税を最優先
天皇制と切り離した運命共同体の崩壊と地球市民社会にインテグレート
された連邦共和制国家への統治機構の変革と天皇制を地球市民社会の
象徴として君臨すべき存在とすることによる護憲主義
国民生活第一を中心とする勢力と民主党(松下政経塾を除く)を中心とした
連立政権
・国粋主義派:脱原発、消費税反対、TPP反対、反米および反中による鎖国主義
後は、新自由主義派とほぼ変わらない似非改革勢力と見て間違いない。
橋下市長による大阪維新の会や石原新党、立ち上がれ日本等による
跳ね返りの極右勢力等
大体、以下の様になるのでは無いかと予想付きますが、問題は、どれだけ多くの国民が
似非改革勢力なんかに騙されない様にするのかということが課題と言えるのかも知れません。
いざとなれば、騙されたふりをすることで、大企業をはじめとする強欲な富裕層と跳ね返りの
右翼連中を海外に追い出すための外交カードに利用する位のことはあっても良いし、その変わり
海外から外国人労働者を幾らでも受け容れてあげることも構わないし、それにより国境の壁を
乗り越えて行かなければならないところはあるかも知れません。
投稿: asa | 2012/07/25 19:43
そもそも税と社会保障の一体改革ということで社会保障の充実と財政赤字の削減を図り、
新福祉国家となるためには、ただ消費税増税するだけで済む話ではありませんよね。
グローバル化の中での新自由主義か新福祉国家のどちらを選択するのかということは、
究極的には、今度の総選挙での一つの争点になることは間違い無いと感じられます。
では、具体的に見ると恐らく以下の様な違いが生まれてくるのでは無いでしょうか。
・新自由主義派:経済成長至上主義、原発推進、消費税増税、TPP推進、大企業優先
官僚主導による中央集権、対米従属、
天皇制を中心とする運命共同体的国家運営
民主党(松下政経塾中心)、自民党、公明党による大連立
・新福祉国家派:脱経済成長、脱原発、消費税増税慎重、TPP慎重、国民生活優先
政治主導による地方分権による連邦共和制による国家体制、
対米従属では無い日米中正三角形型を中心とした多極型外交展開、
大企業ならびに富裕層増税を最優先
天皇制と切り離した運命共同体の崩壊と地球市民社会にインテグレート
された連邦共和制国家への統治機構の変革と天皇制を地球市民社会の
象徴として君臨すべき存在とすることによる護憲主義
国民生活第一を中心とする勢力と民主党(松下政経塾を除く)を中心とした
連立政権
・国粋主義派:脱原発、消費税反対、TPP反対、反米および反中による鎖国主義
後は、新自由主義派とほぼ変わらない似非改革勢力と見て間違いない。
橋下市長による大阪維新の会や石原新党、立ち上がれ日本等による
跳ね返りの極右勢力等
大体、以下の様になるのでは無いかと予想付きますが、問題は、どれだけ多くの国民が
似非改革勢力なんかに騙されない様にするのかということが課題と言えるのかも知れません。
いざとなれば、騙されたふりをすることで、大企業をはじめとする強欲な富裕層と跳ね返りの
右翼連中を海外に追い出すための外交カードに利用する位のことはあっても良いし、その変わり
海外から外国人労働者を幾らでも受け容れてあげることも構わないし、それにより国境の壁を
乗り越えて行かなければならないところはあるかも知れません。
投稿: asa | 2012/07/25 19:48