「日本防衛に沖縄不要」 67年、米高官が言明 極東戦略を重視 外交文書で判明
こういう公文書は本来は、事務的な文章ではあるのだけど、日本の文章の特徴だろうか、かなり本音が読み取れる文章になっているのも面白い。
「日本防衛に沖縄不要」 67年、米高官が言明 極東戦略を重視 外交文書で判明(共同通信)佐藤栄作政権が沖縄返還の対米交渉を本格化させる直前の1967年1月、沖縄駐在の米高官が外務省幹部に「日本の防衛ということなら沖縄は要らない。沖縄の基地を必要とするのは極東の安全のためだ」と言明、沖縄を日本防衛ではなく極東戦略の拠点に位置付ける姿勢を明確にしていたことが、31日公開の外交文書で分かった。
日本政府は沖縄駐留米軍を「日本防衛に必要な抑止力」としてきたが、米側はむしろ極東全体をにらんだ安全保障上の地政学的役割を重視していた実態を物語っている。中国や朝鮮半島の動きを念頭に、新型輸送機オスプレイの沖縄配備計画を進める現在の米軍戦略にも 通じており、論争を呼びそうだ。
発言していたのは、米軍統治下の沖縄で強い権限を持った高等弁務官の政治顧問、ジェームズ・マーティン米公使。67年1月22日付の外務省極秘文書によると、東郷文彦・外務省北米局長との会談で言明していた。
マーティン氏は「自由な基地使用が確保されるなら、いつでも全面返還した方がいいと思っている」とも言及。米軍戦闘作戦行動を日米安全保障条約で定めた事前協議の対象外とし、いわゆる「本土並み」を沖縄に適用しないことが返還の前提条件だと強調した。
返還交渉が本格化した直後の同7月19日付の東郷局長とジョンソン駐日米大使の会談記録によると、国内世論を理由に、基地の完全な自由使用化は「困難」とする東郷氏に対し、大使は「(基地の扱いが)『本土並み』なら(沖縄から)引き揚げる」とけん制。
ベトナム戦争遂行中の米軍は沖縄施設を前線基地化しており、戦略機能堅持を主張する大使に、東郷氏は「(基地の)自由使用と『本土並み』の間に、わが方として受諾し得る基地の地位を見いだしたい」と答えた。
最終的に日本は米国に押された形で返還後の基地の自由使用を事実上容認。69年の佐藤・ニクソン首脳会談で72年の沖縄返還合意に至った。マーティン氏は対日政策に携わった知日派外交官。
結局、沖縄の米軍が日本の防衛のためではなく、アメリカの戦略のためにいることをあけすけに語っている。
ところが、基地の自由使用の交渉がなかなか進捗しないなかで、アメリカは露骨に、脅迫を強めていく。
米軍撤退か協力か…沖縄返還前にマクナマラ長官(読売新聞)沖縄返還に向けた日米交渉が本格化する前の1967年3月、当時のマクナマラ米国防長官が訪米した岸元首相に対し、「私見」と断ったうえで、沖縄駐留の米軍について、日本の協力が得られなければ「引き揚げる」と述べ、撤退の可能性に言及していたことが、外務省が31日付で公開した外交文書で分かった。
米側は、実際には沖縄から撤退するつもりはなく、可能性をちらつかせることで日本国内の「自主防衛論」をけん制し、逆説的に駐留継続の必要性を認識させる狙いがあったとみられる。
在米日本大使館の極秘の公電によると、マクナマラ氏は3月23日の岸氏との会談で、在沖縄米軍について、「日本が米国の基地保有を欲しなくなった日から、一日といえども長くいるべきではない」「米国と政治的関係で共同しつつ、軍事面にもこれを及ぼすことに日本が賛成なら沖縄にとどまるが、そうでなければ引き揚げる」と述べた。
一方で、「日本と東南アジアの前進防衛のためにこそ沖縄にいる」とも強調し、「日本は将来アジアで、今の米国に比べ、はるかに大きな役割を果たすべきだ」と、軍事的貢献への強い期待感も示した。
自主防衛の岸をけん制してということが書かれているが、むしろ、このあたりは、日本政府自身が軍事的に対米追随を深めていく時期にあたる。大きな流れの中で、こういう文章を位置づけるような作業をすると面白いんだろうなと思う。そういう戦後史の検証作業をしなくっちぇいけない時期でもあるんだろうと思う。
この屈辱的な構造が、地位協定をうみ、密約の温床となっていく。法的に成り立たないものは密約で追随する。
検証が求められる戦後史である。
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【ニッポンの防衛産業】日本の固体ロケット技術は垂涎の的!:―【私の論評】持てるものも活かさない日本!!国防・安全保障は、広い視野から!!
こんにちは。日本政府の及び腰は、様々な方面で散見されます。たとえば、日本の固体燃料の技術は、独壇場といっても良いくらいのものです。それはあの「はやぶさ」の快挙をみても誰もが理解できることです。しかし、新規「はやぶさ」を打ち上げる予算は、事実上ゼロです。日本は世界一の固体燃料ロケット技術を放棄したということです。そうして、わずかの予算の使い道は、世界一の技術を開発した技術者を海外流出するのを防ぎ飼い殺しにするためのものです。
自前の他国より秀でた技術力が有るのに、戦闘機からロケットまで、航空宇宙に関する物は全てアメリカの支配下で無いと許されない現状は、余りにも情け無いです。ロケット固形燃料など、徹底的に独自技術を開発すれば、それが、抑止力になります。たとえば、アメリカが何かで、高飛車な態度に出れば、輸出をしないようにすれば良いだけです。こんな高度な固形燃料技術と、「はやぷさ」に適用したような、技術を合体させれば、核兵器などすぐにでもできます。この技術を持つだけでも、かなりの抑止力になります。
日本には、そのような技術がたくさんあります。これを外交カードに使ったり、抑止力に使えば、世界をコントロールすることも可能です。しかし、そのようなことをしない、ボンクラ政治家・官僚には、安全保障とか、国防の観念が全くありません。こんな、政治は、いつまでも続けていてはいけません。やはり、まずは、日本国憲法内でもできる、ロケット燃料の開発や、その他のこともできることからはじめて、限界がくれば、新たな憲法をつくりだし、当たり前の国家になることを目指すべきです。そう思うのは、私だけでしょうか?
投稿: yutakarlson | 2012/08/01 10:43