発信箱:報道されない「示談」=大治朋子(外信部)
毎日新聞の大治記者の痛烈な批判である。
発信箱:報道されない「示談」=大治朋子(外信部)(毎日新聞)沖縄に暮らして実感したのは、米兵らによる犯罪の多さだ。
沖縄県警が昨年1年間に摘発した米軍人・軍属らの刑法犯件数は42件。前年比で約4割減、過去10年で最少というが、それでも1カ月に3.5件、10日に1回のペースで起きている。
例えば2月に起きた器物損壊事件。酒に酔った海兵隊員が、金武町の学校などに駐車されていた車11台を破壊した。
驚いたのは、その後の「示談交渉」。海兵隊の法務担当は被害者の学生らを交番に呼び出し、示談書へのサインを求めた。奥の部屋には警官がいたが、「何をしているのか確認しなかった」。学生らは交番だったので「警察の仲介だと思った」という。
「示談」のやり方もおかしかった。米軍の法務担当者は英語の示談書などを用意し署名させたが、それを学生らに渡さなかった。だから被害者たちは「サインはしたが、内容はよく思い出せない」。そんな理不尽が繰り返されてきた。
学校側は報道機関に一斉に情報提供したが、地元紙の琉球新報以外はほとんど報じなかった。たまたまニュースが多かったのか、あるいは人手不足だったのか。本紙はウェブサイトで新報の記事を転載した。
報道を受け、米軍側は今後交番を使わないこと、示談書を被害者にも渡すことを約束し謝罪した。警察も「交番を使用しないよう要請した」と記者発表した。それでも多くのメディアは、沈黙した。「沖縄ではありがちな話」と黙殺したのかもしれない。
オスプレイの問題を考える時、増加し続ける、米軍の犯罪と事故について、もう1度真正面から問う必要がある。地位協定しかり、いや根底にある、なぜ基地なのかという問題を。
沈黙は容認である。だけど、第4の権力であるメディアの沈黙は、誘導であり、もっといえば支配である。日本におけるアメリカの横暴を支える柱となっている。そうである以上、いうまでもなく、大手メディアは、変革されなければいけない対象であるとも言える。
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